池上彰・総理の秘密<25>
ブログやツイッター、SNSでの情報発信をする人が増えている現代社会。政治家もその例に漏れず、歴代総理も、さまざまな形で情報発信を行っています。安倍総理も、ソーシャルメディアをフル活用して、首相官邸発のオフィシャル情報の発信に努めていますが、これらをチェックすると、政治状況への理解をより深められるかもしれませんね。知っているとニュースがより面白くなり、他の人に自慢したくなるコラム。
総理のメルマガとツイッター
ブログやツイッターなどで情報を発信する人が増えています。となると、総理も負けていられません。歴代総理が、さまざまな形で情報発信をするようになりました。
最初に始めたのは、小泉純一郎総理。2001年(平成13)6月に「小泉内閣メールマガジンらいおんはーと」を開始しました。小泉総理の髪型がライオンのようであることや、当時のSMAPのヒット曲にちなんで名づけられました。物珍しさもあり、話題になりました。
その後、安倍、福田、麻生、鳩山……と歴代総理がメールマガジンを発行しています。
特に鳩山由紀夫総理は、メールマガジンに加えて、ブログやツイッターも活用。情報発信への熱意は群を抜いていました。ただし、ツイッターでのつぶやきに関しては、「多忙な総理がつぶやいてばかりでいいのか」という批判も寄せられましたが。
その後、菅直人総理の時代は、メールマガジンやツイッターは使わず、ブログを開設しただけでした。ブログの名は「KAN―FULL BLOG」。「菅がいっぱい」と「カンフル剤」の「カンフル」を掛けているのでしょうね。
さらに野田佳彦総理は、首相官邸オフィシャルブログ「官邸かわら版」を開設していました。野田総理は、選挙区で手作りの「かわら版」を配布してきたので、その官邸版という意味のようです。
安倍晋三総理も、特別な名前はつけていませんが、首相官邸発としてメールマガジン、フェイスブック、ツイッター、スマートニュース、ユーチューブ、ライン、それらをすべて見られるスマホアプリの提供など、いわゆるソーシャルメディアをフル活用して情報発信に努めています。
安倍総理自身のフェイスブック、ツイッターもありますが、書き込みは見た限り月に1回ほどです。多忙な総理、頻繁に書き込むのはやはり難しいようです。
首相官邸ホームページのリンクサムネイル
首相官邸ホームページのトップページを下までスクロールしていくと現れる、各種ソーシャルメディアへジャンプするためのリンクボタン。ホームページ右上の言語選択ボタン(英語と中国語が選べる)で英語を選ぶと、英語版Facebook、Twitter、YouTubeチャンネルへのリンクがある。
池上彰 プロフイール
いけがみ・あきら ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHKに入局。報道記者として事件や事故、教育問題などを取材。「週刊こどもニュース」キャスターを経て、2005年に独立。著書に『そうだったのか! 現代史』『伝える力』『1テーマ5分でわかる世界のニュースの基礎知識』ほか多数。2012年、東京工業大学教授に就任。16年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。
(『池上彰と学ぶ日本の総理25』小学館より)
初出:P+D MAGAZINE(2017/05/19)