STORY BOX 特別企画
本屋さんと私たち 『流浪の月』で2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんと、『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさん。凪良さんは島暮らしの高校生の男女の出会いから始まる物語『汝、星のごとく』で、町田さんは二人の母を持つ少女の成長を見つめる『宙ごはん』で、2023年本屋大賞ノミネート10作品
お笑いコンビ・Aマッソの〝頭脳〟としてテレビや YouTube、ライブを中心に活躍中の加納愛子。近年は文芸誌でエッセイや小説を精力的に執筆している彼女が、このたび初となる小説集を発表した。そのユニークな発想の源から、お笑いと小説というまったく異なる表現への思いまで、余すところなく聞いた。加納愛子の上梓した『これはちゃ
日本を代表するミステリー作家三〇名が、わずか二〇〇〇字で「どんでん返し」を仕掛けてみせたショートショート集『超短編! 大どんでん返し』(小学館文庫)。九万部突破の大ヒットを記録している同書にインスパイアされた森晶麿が、『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』(小学館文庫)を刊行した。たった一人で三一編ものどんでん返
次回の第2回警察小説新人賞より、今野敏氏に同賞の選考委員に加わっていただく。文学賞を総なめにした「隠蔽捜査シリーズ」や、現在放送中のテレビ東京系ドラマ『警視庁強行犯係 樋口顕Season2』の原作シリーズなど、警察小説の第一人者として活躍してきた。今野氏は、当該ジャンルのどこに魅力を感じ、未来の才能に何を求めるのか。
昨年刊行した拙作『絞め殺しの樹』は、北海道東部・根室が舞台だ。根室には私の母の実家がある。漁業と酪農が主産業という典型的な北海道の地方自治体だが、地理的な理由により江戸後期から商人や幕府の役人が駐在していたこともあり、歴史は古い。『絞め殺しの樹』では、根室特有の環境や出来事など、資料を多々参考にさせてもらった。とはい
評者=町田 康(作家) 息が詰まるような美しさと悲しみ 生きているといろんなことを見聞きし、その都度、いろんなことを感じ、また思うものであるが、そしてそれは嬉しかったり悲しかったりするが、人間というのは因果なもので、その際、これを自分の胸の内、腹の内に留めて自分だけのものとすることができず、これを他に露呈して、他と分か
ミステリーが炙りだす善と悪 傷が人の顔のようになり、意思を持って喋りだす―それが人面瘡である。妖怪や怪異の一種だが、本作では「ジンさん」と名付けられ宿主・三津木六兵と共に金田一耕助よろしく殺人事件の謎に挑む。数ある中山作品の中でも異色のシリーズだ。文庫化で話題の『人面瘡探偵』に続く『人面島』発売を記念して、中山七里フ
第三回警察小説大賞受賞作『転がる検事に苔むさず』でデビューをはたした直島翔氏による第二作が2月24日に刊行される。題名は『恋する検事はわきまえない』、前作で活躍した検事たちのうち、とりわけ女性検事に光をあてた連作短編集である。現役新聞記者でもある直島氏と、元厚生労働事務次官にして、無実の罪で誤認逮捕・勾留された経験を
選考委員の満場一致で第三回警察小説大賞を受賞した直島翔の『転がる検事に苔むさず』は警察小説ならぬ「検察小説」である。当該ジャンルの先達といえば、柚月裕子の名が挙がる。大藪春彦賞受賞作『検事の本懐』を含む〈佐方貞人シリーズ〉において検事を主人公にしたミステリーを書き継いできた。検察は、警察や弁護士と比べ、圧倒的に秘され
ミステリ作家の視点、声優の発想 ユーモアミステリの旗手・東川篤哉が、テレビドラマ化&実写映画化された人気シリーズを八年四ヶ月ぶりに再始動させた。おなじみの執事探偵&令嬢刑事コンビの物語にど天然の新米刑事が新キャラとして加入した最新刊『新 謎解きはディナーのあとで』をいち早く読んだのは、声優の堀江由衣だ。堀江のライブ後の楽屋挨拶で顔を合わせてはいるも
警察小説においては警察の組織機構や捜査手法を「正しく書く」ことが大前提だ。誉田哲也氏は先月号掲載のインタビュー前編でそう述べた。さらに「警察という実在の組織をお借りして小説を書く際の、礼儀であり職業倫理である」とも言う。では、その一線を越えたうえで、筆者は、自分なりの色をどう付ければいいのか。これから執筆を目指す方に
小学館の文庫レーベル「おいしい小説文庫」がまもなく創刊1年を迎える。長引くコロナ禍によって飲食業界は多大なる被害を受けた。一方で「家ごはん」が注目されるなど、私たちの食生活が大きく変わった一年だった。改めて私たちにとって「食」とは何なのか。その貴さとは何か。「おいしい小説文庫」アンバサダー・のんさんに聞いた。
2017年に創設された警察小説大賞も第三回を迎えた。今後も、警察小説のさらなる隆盛、そして革新を願うなか、応募者たちはいかなる姿勢で執筆に臨めばいいのか。女性刑事を主人公に据えた「姫川玲子シリーズ」、また「〈ジウ〉サーガ」では警視庁特殊急襲部隊を登場させるなど、常にジャンルに新風を吹き込んできたのが誉田哲也氏である。名実ともに警察小説のトップランナーの誉田氏に、「創作の極意」を聞いた。
人は生死の境界線をも越えた無数の繋がりの中で生きている
長野県で地域医療に従事する医師である夏川草介は、2009年に様々な患者と向き合う内科医の姿を描いた『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞
2003年12月に第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作『太陽の塔』でデビューした森見登美彦さんと、2004年6月に第31回メフィスト賞受賞作『冷たい校舎の時は止まる』でデビューした辻村深月さんは
大手出版社の文芸編集者・俊太郎と、一発屋の作家・豊隆。いつか一緒に仕事をしようと誓い合った幼馴染の2人が、不況に喘ぐ出版業界で"必要とされる物語"を生み出そうと奮戦する様子を描いた早見和真の『小説王
君が何を食べるか言ってみたまえ。君が何者であるかを言い当てよう──。世界に名を馳せたフランスの食通ブリア・サヴァランは、自著『美味礼讃』の中でそんな名言を後世に残している。食べ物はその人物の人となりを
本誌の人気連載「鴨川食堂」の著者柏井壽氏と、今号に新作「冥土ごはん」を掲載する伽古屋圭市氏が食をテーマにした小説を書くことの楽しさを語り合った。
──大正時代を舞台にした小説を多く書いてきた伽古屋さ