エンタメ小説

今月のイチオシ本【エンタメ小説】
 あれは、どういう流れだったのか。いい感じでお酒が回った仲間たちと、バッティングセンターに行ったことがある。総勢何人で行ったのか、誰がいたのか、全員の顔まではもう思い出せないのだけど、空振りしては笑い、球がかすっては笑い、ととにかく楽しかった記憶しかない。夜が深い、猥雑な歌舞伎町のなか、あのバッティングセンターだけは、
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
「星の子の家」、それが本書の主人公・花が暮らす施設の名前だ。「星の子の家」は、「親が病気になってしまった子、経済的な問題で家庭で暮らせなくなった子、身体や精神に深い傷を負った子」たちを預かる施設で、花は8歳の時にやって来た。それから10年、花が18歳の誕生日を迎えた日から、物語は幕を開ける。
 主人公は、高校一年生の漣。父親の海外赴任に伴い、保育園の年長の時から中二で帰国するまで、八年間タイのバンコクで暮らしてきた。漣には歳の離れた姉・まどかがいて、彼女は漣がバンコクにいる間に結婚し、離婚していた。今は実家に戻っているまどかは、漣の記憶にある彼女とは別人のようになっていて、両親も漣も、まどかに対しては腫れ物に触るように接している。
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
「料理が好きな人」三年前の春に出会った時、好きな人のタイプを尋ねた優花に、真島は即答した。以来、ことあるごとに同じ質問をするものの、「料理が上手な人」「料理好きな人」と、言い回しは変わっても、答えはいつも同じ。この真島の言葉が、優花にとって呪縛となる。何故なら優花は料理が嫌いで苦手、だからだ。それでもなんとか三年越しの
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『ババヤガの夜』王谷 晶 河出書房新社  読んでいる間中、胸の奥から名状し難い興奮が突き上げてくる。冒頭、ぼっこぼこにされた状態で、新道依子が暴力団の会長宅に連れてこられた場面。組員の
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『ハッピーライフ』北大路公子 寿郎社  人は感情に翻弄されがちだ。とりわけ、不安や悲しみ、恨みや憎しみといった昏い感情に。それらはじわりじわりと心を侵食していき、やがて拭っても消えない
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
『口福のレシピ』原田ひ香 小学館  まず最初に言っておきます。本書を読むにあたっては、空腹時を避けるべし! 空きっ腹にしみすぎて悶え苦しむことになります。ほどよく小腹を満たしてから、お
shojyo-shoei
 タイトルは、今や伝説のロックスターであり、27歳で自らの頭を撃ち抜いて亡くなった、ニルヴァーナのボーカル&ギタリスト、カート・コバーンの言葉からとったもの。めっちゃカッコいい!  物語のプロローグは
Yosonoshima
 芳朗と蕗子の碇谷夫妻が、友人でミステリー小説家の野呂晴夫と、東京から離島に移住してくるところから、物語は始まる。芳朗、蕗子、野呂、三人はそれぞれに〝秘密〟を隠していて、その〝秘密〟は、物語が進むにつ
Oppai
 本書は第十一回小説宝石新人賞を受賞した本山聖子さんのデビュー作で、若年性乳がんを患う、百花、菜都、柚子、三人三様のドラマを描いた連作短編集だ。  夫も自分も子ども好きだったため、半年前に結婚した直後
Utsukushii_Niwa
 屋上に、縁切りにご利益があるという「御建神社」があるため、周りの人たちからは「縁切りマンション」と呼ばれているマンション。そこに住う、神社の宮司でもある統理と、彼と離婚後、再婚した前妻夫妻の遺児、百
snack_sakaba
 本書は、第九十六回オール讀物新人賞受賞作「姉といもうと」を含む7篇からなる短編集で、作者の嶋津輝さんのデビュー作でもある。帯コピーにある、森絵都さんの「どっかりしていて、愛嬌がある小説」(「姉といも
kenjusho
 四歳の時に、実の父を旗本奴による無宿人狩りで喪い、明暦の大火では育ての父を喪い、天涯孤独の身となったりょうすけ(六維了助)は、ひょんなことから水戸光國と出会う。光國は、自らが率いる、捨て子たちからな
dan_osano_
 歌人としては、第60回「短歌研究新人賞」、第12回「(池田晶子記念)わたくし、つまり Nobody 賞」、第63回「現代歌人協会賞」受賞、と錚々たる受賞歴を持つ気鋭の作者が書いた初の小説は、凶暴なま
teiji-shoei
 現在TBS系で放映中のドラマの原作『わたし、定時で帰ります。』の続編である。前作でヒロイン・東山結衣の前に立ちふさがったのは"ブラック上司"だったが、今作では"ブラッククライアント"と結衣が教育を担
 婚約者の坂庭真実が、西澤架のもとに泣きながら「助けて」と電話をかけて来たのは二ヶ月前だった。実は真実はストーカー被害に遭っていて、そのストーカーが自分の部屋に上がり込んでいるみたいだ、と。その夜以来
arimurake-shoei
 文子は有村家三兄妹の末っ子で、独身のイラストレーター。姉の美香子は終末期在宅医療の専門医で、看取りのプロ。美香子には夫と中学生の息子がいる。兄の優は寝具店の店長で、名前の通り兄妹のなかでは一番優しい
higumanokitchen
 大学で応用化学を学んだ樋口まりあは、就活で人生初めての挫折を味わう。それまでは、試験という試験を優秀な成績でクリアして来たまりあだったが、三十数社に及ぶ就職試験には悉く失敗したのだ。すべての会社に「