目利き書店員のブックガイド

毎週金曜日更新。目利きの書店員が、おすすめの三冊を紹介します。

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目利き書店員のブックガイド 今週の担当 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 家から30分ほどの距離に鎌倉がある。出身どこ? と聞かれると「横浜です」と答えてきた私だが、実際は横須賀市、逗子市の境目のぎりぎりハマっこである。だからなのか桜木町やみなとみらいなどのザ・横浜よりも実は鎌倉の方が行きやすく居心地がいい。神社仏閣を訪ねるのが好きなのも、より鎌倉の居心地の良さにつながっているのかもしれな
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
 時代小説は、いつも緊張してドキドキしてしまう。私自身が歴史に詳しくないので、どうしてもハードルが上がってしまうのだ。そのため読む機会も少なく、自分の力不足に毎回打ちひしがれている。ただ、今回ご紹介する『木挽町のあだ討ち』は、「時代小説が得意でない」という自分を打ち消したいほど驚きの物語だった。時代は江戸時代。ある雪の
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 ときわ書房志津ステーションビル店 日野剛広さん
 竹田ダニエル。その存在を知ったのは Twitter だった。そこで披露されている論考のクールさと熱さの融和が絶妙で、今私が最も注目し、信頼する書き手の1人だ。著者はいわゆる「Z世代」に身を置く人物として、アメリカの音楽を中心とした文化を題材に、研ぎ澄まされた思考や生き方の提示を世界へ向けて発信し続けている。Z世代とは
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 丸善丸の内本店 高頭佐和子さん
 女性が自立して生きることや表現者であることに、まだ世の中が寛容でなかった時代に、作家となることを選んだ9人の生涯に、父と娘という視点から鋭く迫ったノンフィクションである。『この父ありて』という題名から、さぞ立派なお父様たちに育てられた女性たちなのだろうと思われる方が多いのではないだろうか。もちろん、そのような父も登場
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 広島 蔦屋書店 江藤宏樹さん
 本を読む意味ってなんだろうと考えることがあります。娯楽のため、必要な知識を得るため、仕事に役立てるため、などなどいろいろありますが、私が特に大事だと思っているのは「本を読むことで、私ではない他の人のことを知り、理解しようとすること」ではないかと思っています。私は、私以外の他の人が何を考えているのかわかりません。その人
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 文信堂書店長岡店 實山美穂さん
 小説を読むとき、大事にしているポイントはありますか? 泣けること。新たな知識を身につけられること。現実にはできない体験をすること。思いつくだけでも、いろいろありますね。私は文章から色や音、風、匂いなど、五感を刺激されるものが好きです。だからSFや歴史ものが苦手なのかもしれません…。さて今回は、そんな作品から一冊を紹介
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 書店員になり、新刊を出したりフェアを考えたりする仕事だけではなく、作品のおすすめなど文章を提出する仕事も増えた。学生時代から国語の授業は得意だったし、話すことも大好きだったが読書感想文や日記など、頭にぐるぐるとたくさん浮かんでいることを文章として構築することが苦手であることにいつしか気づいた。そのため詩や短歌など、文
目利き書店員のブックガイド 今週の担当 大盛堂書店 山本亮さん
 ちょっとしたタイミングで運命的に出会ってしまった人の存在、普段意識をしていなくても、もしかしたら誰でも心当たりがあるのではないだろうか。恋愛や友情を通じて掛け替えのない人、もしくは自分にとって都合の良い人、羅針盤のようにこれからの生き方を示してくれる人。色々いるだろうけど、その人が自分の大切な心の中へ踏み込んできたと
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 ユーミンは50周年なのだ。気づいたら当たり前のように暮らしの中にはユーミンの曲が流れていた。昭和も、平成も、令和も。街中でも、スキー場でも、ビーチでも。懐かしくも新しく、時や空間を超えて輝き続けている。近年でユーミンの人柄に魅了されたのは、2021年紅白のステージだった。一瞬にして会場の空気をつかむ笑顔のトークと天性
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 8人の書店員が週替わりでその時々のおススメの本を三冊紹介する『週末は書店へ行こう!』。「他の書店員さんが紹介する本と被らない」「メインで紹介するのは新刊」という制約があったため、私が書きたかったものを既に他の書店員さんが紹介したり、その時々で何を紹介しようか悩んだりするかもと思ったが、不思議と被ることも悩むことも無く
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 吉見書店 竜南店 柳下博幸さん
『リバー』! まずはこの分厚さに驚く。ずっしりとくる重さは電子書籍では絶対に味わえない紙の本での読書の魅力だろう。渡良瀬川は群馬県桐生市と栃木県足利市に流れる大きな川。数々の支流を飲み込み利根川支流では最大の流域面積を誇る。その渡良瀬川の河川敷に若い女性の絞殺死体が見つかる。現場に向かう捜査員の頭に10年前にこの地で起
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 10月のある日、そろそろ眠ろうかと寝室の明かりを消すと、外のあまりの明るさに驚いて飛び起きたことがあった。外から懐中電灯で照らされているかのような丸い光がカーテンの隙間から届いていたのだ。すわ、泥棒か!? とおそるおそる外を覗くと、そこには信じられない明るさの月が佇んでいた。私が見たのは、アメリカの先住民が動物の狩猟
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
 クイズプレイヤーの三島玲央は、第一回『Q-1グランプリ』のファイナリストとして、スタジオの解答席に立っていた。優勝賞金は破格の一千万円。決勝は一対一で七問先取の早押しクイズ、対戦相手は圧倒的な記憶力で頭角を現してきた本庄絆だ。決勝戦でもお互いに一進一退の攻防を続けていた。スコアは本庄が追い付いて6-6のイーブン。次が
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 丸善 お茶の水店 沢田史郎さん
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ とは、俵万智の『サラダ記念日』(河出文庫)から。日常のふとした瞬間の愛しさと、かけがえの無さ。それを飾らない言葉で表現した名歌ではなかろうか。まるでコピペしたような毎日の中で、不意に輝きを放つ小さな幸せ。それは、
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実さん
 空高く涼しい風が吹くたびに秋を少しずつ感じる今日この頃。秋といえば食欲、スポーツ、読書、芸術といわれるが芸術の秋ってなぜ秋なのだろうかとふと思った。調べてみたところ、大正時代にとある雑誌に「美術の秋」という言葉が使われ、そこから芸術の秋となったとのこと。ということで読書の秋、芸術の秋を一緒に体感できる今回紹介したい本
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 この時代、この国に生まれた私達には、当たり前のように文字を教わる学校があり、教室がある。同じ時代を生きていても、地球儀をくるりと回すと、自由に学ぶ機会のない子ども達がいったいどれくらいいるのだろうか? 国際労働機関ILOが4年に一度発表している2021年の児童労働データによると、世界の児童労働者(5〜17歳)数は1億
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 高校生の頃から、摂食障害を患っていた。食べ物を美味しいと思う正常な味覚は持ち合わせていると信じたいが、一定量を超えた「それ」は私にとって吐くために詰め込んでいる物質で、美味しいとか美味しくないとか心を込めて作られているとかいないとか、そんなことは二の次だった。食べることは嫌いではない。嫌いではないが、食べている自分は
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 吉見書店 竜南店 柳下博幸さん
 タイトルの「クロコダイル・ティアーズ=ワニの涙」とは、嘘泣きや偽りの涙。悲しんでいるように見せて実は……という慣用句。古代ローマ時代にはすでに「ワニが獲物を食べながら涙を流す」ことが知られており、かのシェイクスピアも作中で「計略としての涙」「偽りの懺悔としての涙」を「ワニの涙」と表現している。実際は体内の塩分排出行為