【注目度の高い本屋大賞】2015年のオススメ作品を紹介-後編-
前回に続き、2015年の本屋大賞6位から10位の作品について簡単にあらすじをご紹介します。書店員さんのおすすめ作品なので参考にしてみてください。
前回の記事、「【注目度の高い本屋大賞】2015年のオススメ作品を紹介-前編-」にて、1〜5位の受賞作品をご紹介させて頂きました。今回は前回に引き続き、2015年の本屋大賞6〜10位の作品をご紹介させて頂きます。
第6位.『怒り』吉田修一著
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4120045862
東京八王子で夫婦が殺害されます。そして殺人現場に残されていたのは「怒」の血文字でした。目撃情報などから犯人とされている山神は、1年近く逃亡生活を続けています。そして、山神のモンタージュ写真に似ている3人の素性の知れない男が登場してきて…。3人の周りの人々は、目の前にいるのは逃亡中の殺人犯でなのではないかと疑いを深めていきます。一体犯人は誰なのか?殺人のシーンなど情景描写がぞっとするほどリアルに描かれています。ミステリーとしても人間ドラマとしても深く心に残る作品となっています。
殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?
第7位.『満願』米澤穂信著
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4103014741
第27回山本周五郎賞受賞作品です。6つの短編からなる短編集となっています。表題作の『満願』は、殺人を犯した女性の裁判についての物語です。居候をしながら弁護士を目指す学生が主人公。居候先のおかみさんが殺人を犯してしまい、主人公はなんとかおかみさんの罪を軽くしようと奔走します。しかし突然控訴を取り下げるというおかみさん。彼女が守りたかったものとは…。個々のストーリーはシリアス、ホラー、イヤミスなどバラエティに富んでいて飽きさせません。どの話もよく作りこまれており、短編集でありながらとても読み応えのある作品です。
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは―。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。
第8位.『キャプテンサンダーボルト』阿部和重/伊坂幸太郎著
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4163901949
2人の人気作家、阿部和重と伊坂幸太郎の共著作品となっています。交互に各章を書いていくというスタイルで書かれています。主人公は小学校時代に同じ野球チームでバッテリーを組んでいた2人の男です。騙された後輩を助けるために借金を背負うことになった相葉。相葉がバッテリーを組んでいて、親友でもあった井ノ原も子供の病気の治療のために増えた借金に苦しんでいました。お金に困っていた2人の目の前に転がり込んできた一攫千金を手にするチャンス。子供の頃からトラブルメーカーだった相葉に関わりたくないと、協力するのを拒んでいた井ノ原ですが、相葉に強引に手伝わされ…。謎の殺し屋、少年時代に憧れた戦隊ヒーロー、墜落した飛行機事故の謎、政府が隠そうとする謎の病原菌など様々な謎が絡み合いながら、クライマックスは一気に物語が展開していきます。
世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。
第9位.『アイネクライネナハトムジーク』 伊坂幸太郎
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4344026292
6つの短編で構成されており、それぞれのストーリーが少しずつ繋がっていくオムニバス形式の作品。仕事で街頭アンケートに答えてくれる人を探している佐藤が、アンケートに答えてくれた女性と交わす何気ない会話から物語がスタートします。そして最後に今までに登場したストーリーの謎やその後が描かれていきます。人には決められた運命はあるのでしょうか?日常のささいなひとつひとつの出来事が大事に思えるような気持ちにさせてくれます。
ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL…。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。
第10位.『億男』川村元気著
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4838727143
弟の借金を肩代わりすることになり、妻と娘と別れて1人で暮らしている一男。図書館司書と工場の仕事を掛け持ちして必死に働く一男は、ある日宝くじに当選し3億円を手にします。突然大金を手にした一男は、仕事で成功し億万長者となっている大学時代の友人、九十九に会いに行きます。すると翌日、九十九は一男の3億円を持って姿を消してしまい…。お金とはなんなのか。お金について、本当の幸せについて考えさせられる作品です。
宝くじで3億円を当てた図書館司書の一男。浮かれる間もなく不安に襲われた一男は、「お金と幸せの答え」を求めて大富豪となった親友・九十九のもとを15年ぶりに訪ねる。だがその直後、九十九が失踪した―。ソクラテス、ドストエフスキー、アダム・スミス、チャップリン、福沢諭吉、ジョン・ロックフェラー、ドナルド・トランプ、ビル・ゲイツ…数々の偉人たちの“金言”をくぐり抜け、一男の30日間にわたるお金の冒険が始まる。人間にとってお金とは何か?「億男」になった一男にとっての幸せとは何か?九十九が抱える秘密と「お金と幸せの答え」とは?
最後に
本屋大賞では常連の伊坂幸太郎の作品が2つ入賞しています。面白そうな本がなかなか見つからないという方はランキングから気になるものをチェックしてみてはいかがでしょうか。
また、気になる2016年の本屋大賞については以下記事でご紹介しております。
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初出:P+D MAGAZINE(2016/11/13)