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◎編集者コラム◎ 『東京輪舞』月村了衛
 2010年の小説家デビュー以来、文学賞を次々と受賞。いま最も注目を集める作家のひとりである月村了衛さんが、「自分にとって特別な作品」と語るのが『東京輪舞』です。
「推してけ! 推してけ!」特別編 ◆『臨床の砦』(夏川草介・著)
評者・知念実希人(作家・医師) 現役医師がコロナ禍の地域医療をリアルに描いたドキュメント小説 二〇二〇年の初め、数か月後に予定されているオリンピックを待ち望んでいた日本の「日常」は誰も気づかないうちにゆっくりと、しかし確実に侵食されはじめていた。中国の武漢で報告された原因不明の肺炎の原因は、一月には新型のコロナウイルスによる感染症であると判明し、
今月のイチオシ本【エンタメ小説】
「料理が好きな人」三年前の春に出会った時、好きな人のタイプを尋ねた優花に、真島は即答した。以来、ことあるごとに同じ質問をするものの、「料理が上手な人」「料理好きな人」と、言い回しは変わっても、答えはいつも同じ。この真島の言葉が、優花にとって呪縛となる。何故なら優花は料理が嫌いで苦手、だからだ。それでもなんとか三年越しの
◉話題作、読んで観る?◉ 第36回「騙し絵の牙」
 映画『罪の声』が好評だった作家・塩田武士が俳優・大泉洋をイメージして執筆したミステリー小説を、『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』を手掛けた吉田大八監督が大胆な脚色を加えて映画化。ネット文化の台頭によって売り上げが伸び悩む出版業界を舞台に、さまざまな雑誌を渡り歩いてきた口八丁な編集者が、奇想天外なアイデアで起死回生を
「推してけ! 推してけ!」第5回 ◆『鳴かずのカッコウ』(手嶋龍一・著)
評者・後藤謙次(ジャーナリスト) 近未来の国際社会に於ける日本の見取り図 著者との初めての出会いは今から約四十年前に遡る。首相官邸記者クラブでNHKと共同通信の政治部記者同士で、ともに時の鈴木善幸首相のいわゆる総理番だった。著者の前任地はNHK横須賀支局。通称「番小屋」と呼ばれた小部屋で雑談していた時のことだ。著者がさりげなく漏らしたエピソードが今も忘
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 実在した上海自然科学研究所の研究者が、戦時下の上海で細菌兵器の謎を追う『破滅の王』が直木賞候補になった上田早夕里の新作は、やはり戦前の上海を舞台に日中戦争の和平交渉を描いている。一九三九年、今井武夫陸軍大佐らが中心となり、蒋介石と和平交渉をする「桐工作」が進められた。当時の中国は親日派の汪兆銘と対日強硬派の蒋介石が争
◎編集者コラム◎ 『警視庁特殊潜工班 ファントム』天見宏生
 現在、文庫書き下ろし警察小説は、文庫市場を支えている最重要ジャンルと言っても、過言ではありません。出版市場における文庫市場の占有率を見れば、間違いなく、出版界の大黒柱のジャンルとなっていて、今や、文庫書き下ろし時代小説と肩を並べる、一大ジャンルにまで成長しています。
「警視庁公安J」「警視庁組対特捜K」「警視庁監察官Q」シリーズで大人気の著者・鈴峯紅也先生が小学館文庫に初登場です。上記3シリーズのタイトルに名付けられたアルファベット、「J」「K」「Q」。この3文字から...
HKT48田島芽瑠の「読メル幸せ」
3月になりました🎎 花粉症の季節がやってきました。今年は相当敵が強いですね。目も鼻もやられ白旗状態です🏳さて、2月は本に助けられた1ヶ月でした...
「推してけ! 推してけ!」第4回 ◆『9月9日9時9分』(一木けい・著)
評者・浅野智哉(ライター・著述家) 南国の果実のように鮮やかな飛躍 何人もの実力派を輩出してきた新人賞『女による女のためのR─18文学賞』で、近年最高の収穫作家と呼べるのが、一木けいだ。2016年、読者賞となったデビュー作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』が、アーティストの椎名林檎から絶賛され、1作目にして話題をさらった。続けて発表した『愛を知
◎編集者コラム◎ 『かすがい食堂』伽古屋圭市
 放課後の子どもたちが集う駄菓子屋さんが、夜には子どもたちのための食堂に!? 小学館文庫での前作『冥土ごはん 洋食店 幽明軒』では、死者が訪れるレストランを描いた伽古屋圭市さんが、本作で舞台にしたのは東京下町の「子ども食堂」です。
◎編集者コラム◎ 『テッパン』上田健次
 季節の巡りは早いもので、寒さ厳しい日が続いていたと思っていたら、急に暖かくなってきました。例年ならば、もうすぐやってくるお花見の季節に心躍らせる時期でしょうか。残念ながら、今年は皆で集まることは難しそうですが……できることならば、せめてお散歩ついでにお花見スポットに立ち寄り、桜を眺めながらおいしい屋台グルメでもいただ
今月のイチオシ本【デビュー小説】
 クリープハイプの尾崎世界観が候補になったこともあり、メディアでも派手に報道された第164回芥川賞。下馬評通り、宇佐見りん『推し、燃ゆ』が受賞したが、デビュー作ながら同じ回の候補になったのが、すばる文学賞受賞の本書。題名はポルトガル語で〝配偶者〟の意味(著者によれば、コンタクトと同じく、「コン」にアクセントがあるらしい)。
◎編集者コラム◎ 『さんばん侍 利と仁』杉山大二郎
タイトルを一目見て、「〝さんばん〟って、なに?」と思った方もいるかもしれません。「さんばん」を漢字で書くと、「算盤」。そう、皆さんがよく知っている「ソロバン」なのです(若い方は現物を見たことのない方もいるかもですね。汗)。
危機の読書
 コロナ禍によってグローバリゼーションに歯止めがかかった。その結果、国家機能が強まった。近代の国家はナショナリズムと結びついている。ナショナリズムが暴発した結果が20世紀に起きた二度にわたる世界大戦だ。
◎編集者コラム◎ 『刑事の遺品』三羽省吾
 三羽省吾さんの単行本『刑事の血筋』を、『刑事の遺品』として改題し文庫化する編集業務に携われるとなった時、胸の高鳴りを抑えきれなかった。それくらいに三羽さんの作品に魅せられ、追い続け、より多くの人に届けたいと思ってきた。
◎編集者コラム◎ 『警部ヴィスティング 鍵穴』著/ヨルン・リーエル・ホルスト 訳/中谷友紀子
 前作『警部ヴィスティング カタリーナ・コード』は、おかげさまで2021年版「このミステリーがすごい!」〈海外編〉第7位に選ばれました。本当にうれしい出来事でした。そして応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。心からの感謝を申し上げます。
◎編集者コラム◎ 『悲願花』下村敦史
 書店員さんや熱いファンの間では、〝シモムー〟の愛称で知られている下村敦史さん。そんな可愛らしい愛称がしっくりくるような、穏やかで優しいお人柄が魅力の下村さんですが、書かれる作品は骨太で、扱いにくいような重いテーマに次々に挑戦されています。