今月のイチオシ本

Oppai
 本書は第十一回小説宝石新人賞を受賞した本山聖子さんのデビュー作で、若年性乳がんを患う、百花、菜都、柚子、三人三様のドラマを描いた連作短編集だ。  夫も自分も子ども好きだったため、半年前に結婚した直後
Enkan
 予期せぬコロナウイルス禍の影響で開催が危ぶまれる東京五輪。可否を判断するタイムリミットは五月下旬といわれるが、さてどうなるか。一方、五輪を題材にしたミステリー小説界はというと、開催を前提にしたテロ犯
EndofLife
 世の中が高齢化社会に向かってまっしぐらに進み、日本人の死因一位ががんだと目の前に突き付けられ、自分が生活習慣病の対象年齢になり、自分より年下の友人を亡くすと、否が応でも生きることと死ぬことを考えるよ
ded_line
 著者は1978年生まれの哲学者。博士論文「ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学」を改稿した初の単著『動きすぎてはいけない』が哲学書としては異例のベストセラーになり、ツイートを書籍化した『別のしかたで』や
Shikeihyouketsu
 チャリティコンサートが行なわれていた高松駅前の広場で、紙袋に入れられた手製の爆弾が爆発。十二歳の少年が死亡し、十数名の重軽傷者を出す大惨事となった。警察は防犯カメラの映像を手掛かりに、当時十九歳の小
taiheiyou_shokudou
 一九一〇年、全国の社会主義者、無政府主義者が、明治天皇の暗殺を計画したとして逮捕され、傍聴が許されず、証人も呼ばれない異常な裁判で二十四名が大逆罪で死刑(後に十二名は無期懲役に減刑)の判決を受ける大
Utsukushii_Niwa
 屋上に、縁切りにご利益があるという「御建神社」があるため、周りの人たちからは「縁切りマンション」と呼ばれているマンション。そこに住う、神社の宮司でもある統理と、彼と離婚後、再婚した前妻夫妻の遺児、百
Mokujiroku
 奥山和由は現役でありながら様々な伝説を持つ映画プロデューサーである。彼に映画史研究家の春日太一が計25時間ものロングインタビューを決行し、低迷期にあった70年代半ばから現在までの映画史の裏側を見る見
gap
 主人公は〝ごんぞう〟というと、どこかの田舎のおっさんの話のようだが、これは隠語でやる気のない、自主的窓際警官のこと。本書はその異色の男たちの姿を描いた第一回警察小説大賞受賞作だ。  神奈川県警の新米
TsukinoOtoshiko
 早川書房が主催する公募新人賞、アガサ・クリスティー賞から、超大型サスペンスが登場した。とりわけ冒頭部分の牽引力は抜群で、選考委員の北上次郎氏が、「採点は5点満点だが、6点を付けようと思った」と書いて
SeijanoKakera
 先日、ローマ教皇フランシスコが来日され、反核兵器のメッセージを送った。言語学者・川添愛の初の歴史小説『聖者のかけら』は、現教皇が名前を受け継いだアッシジの聖フランチェスコ(英語名フランシスコ)が作っ
jinmen
 手続きや協議の支援をはじめ、相続に関するマネージメントを請け負う「相続鑑定士」である三津木六兵には、常に行動をともにする〝ジンさん〟なる相棒がいる。濁声の毒舌家で、六兵を「ヒョーロク」と呼んで小馬鹿
sanzui
 警察の内部には様々な隠語があって、中にはガサイレ(家宅捜索)やマルガイ(被害者)のように一般化している言葉もある。本書の表題もそのひとつで、サンズイは汚職絡みの政治案件を指す。  主人公の園崎省吾は
philosophy_religion
 現代は格差社会だという。収入格差、地域格差などさまざま叫ばれているが、知識の格差も大きな問題ではないかと私は思っている。グローバル社会といわれて久しく、世界的に資本や人材、情報がボーダレスでやり取り
snack_sakaba
 本書は、第九十六回オール讀物新人賞受賞作「姉といもうと」を含む7篇からなる短編集で、作者の嶋津輝さんのデビュー作でもある。帯コピーにある、森絵都さんの「どっかりしていて、愛嬌がある小説」(「姉といも
yuugennoeshi
 第一五回「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞を受賞した『京の縁結び 縁見屋の娘』で二〇一七年にデビューした三好昌子は、『京の絵草紙屋 満天堂 空蝉の夢』『群青の闇 薄明の絵師』など、江戸時代の絵
hoshikudaki
 松葉屋なつみ『星砕きの娘』は、東京創元社が主催する創元ファンタジイ新人賞の今年(第4回)の受賞作。ファンタジイはあんまり……という読者もいるだろうが、本書はのっけからぐいぐい読ませる伝奇時代小説の秀
gokujounowana
「簡単な雑用から重大な任務まで、なんでもお引き受けいたします」  悪人たちのもとにふいに届く、「便利屋」からの簡素なダイレクトメール。連絡先は携帯の番号のみ。いったい差出人は何者なのか──?  深木章