乗代雄介

『パパイヤ・ ママイヤ』刊行記念SPECIALレビュー
評者=町田 康(作家) 息が詰まるような美しさと悲しみ 生きているといろんなことを見聞きし、その都度、いろんなことを感じ、また思うものであるが、そしてそれは嬉しかったり悲しかったりするが、人間というのは因果なもので、その際、これを自分の胸の内、腹の内に留めて自分だけのものとすることができず、これを他に露呈して、他と分か
乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』
もっと光を! 小説の舞台である小櫃川河口干潟は、木更津駅から十分ほどバスに乗り、そこから徒歩で三十分という場所にある。足を運びやすい場所ではないが気に入って、手帳によると二十回行ったらしい。潮の満ち引きが見たくて朝から出向き、風景を書きとめ、蟹と戯れ、ゴミを漁り、飲み食いし、浜で遊び、昼寝して、夕焼けを見て帰る。一日い
大どんでん返し第6回
乗代雄介「客人の思惑」 別荘地をさらに離れた山の麓に、その別邸はある。主人が九月に急逝して以来、傷心の夫人は都内の邸宅から思い出多いこちらへ引っ込んで暮らしている。