大どんでん返し

大どんでん返し第7回
竹本健治「訪ねてきた女」 吾平という者、大の酒好きで、その日も寄合の酒宴に与り、したたかに呑んで、ようやく帰途についたのはとっぷりと日も暮れた頃だった。
大どんでん返し第6回
乗代雄介「客人の思惑」 別荘地をさらに離れた山の麓に、その別邸はある。主人が九月に急逝して以来、傷心の夫人は都内の邸宅から思い出多いこちらへ引っ込んで暮らしている。
大どんでん返しspecial
浅倉秋成「イズカからユウトへ」【イズカじゃなくてシズカへ(笑)】メール読んだよ。てかなんでメール? 普通にスマホのメッセージアプリ使えばよくね……って思ったけど、そういえばシズカはスマホよりパソコンのほうが文字打ちやすいって言ってたな。
大どんでん返しspecial
浅倉秋成「川縁にて」 やがて東京湾へと続く真間川の川岸を下るやうにして二三里ほど歩くと、絶景と評すには些か地味なれど、梨畑が割れて遮るものなく青空の望める清々しい場所へと辿り着く。突き抜ける空から注ぐ陽の光が水面を飴細工のやうに複雑に煌めかせ、透き通る水底の小さな砂利のひと粒ひと粒まであらはにする。おれはその場で素足になり、此所に座れと千代を促す。
大どんでん返し第3話
一穂ミチ「恋に落ちたら」 恥を忍んで言うなら、わたしは彼氏に飢えていた。もう三年以上、彼氏ができなかった。原因が自分にあるのは重々承知だけど、それを直す、というか譲ることはできなかった。わたしという人間の本質に関わる部分だから。「いや、うまいよまじで」
大どんでん返しspecial第2回
阿津川辰海「黒い雲」 高枝切り鋏を雲に差し込んで、素早く両腕を動かす。今日は曇り空で、高所作業でも汗をだらだらかかなくて済む。ぼくの近くには空にぷかぷか浮かんだゴンドラが二つあり、片方には霧吹きを持った男が、もう片方には袋を構えた男が立っている。二人とも仕事仲間だ。
大どんでん返しspecial第1話
新釈『蜘蛛の糸』 一生懸命のぼった甲斐があって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう暗の底に何時の間にかかくれて居ります。それからあのぼんやり光っている恐ろしい針の山も、足の下になってしまいました。この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかもしれません。
◎編集者コラム◎ 『超短編! 大どんでん返し』編/小学館文庫編集部 連載時は、風間勇人さんに挿絵を描いていただきました。お気に入り、たくさんあるですが少しだけご紹介します。