採れたて本!

「STORYBOX」のジャンル別オススメ本紹介記事です。

採れたて本!【国内ミステリ】
 東京地裁で「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある。だから現場が密室である限り、犯人は必ず無罪になる」という奇天烈な判決が下って以来、日本中で密室殺人事件が急増した……という奇想天外な設定の本格ミステリ『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』で、第二十回「このミステリーがすごい!」大賞の文庫グランプ
採れたて本!【エンタメ】
 自分が働いて稼いだお金を、一体何のために使いたいか。そう問われると、皆が「幸せのため」だと答えるのではないだろうか。鞄や服を買うのも、生活用品を買うのも、家族で暮らす場所を買うのも、休日に過ごす旅行先の宿泊を買うのも、すべて自分や周囲の人間の幸せが手に入ると思っているからだろう。しかし他人や時代の空気に流されず、何が
採れたて本!特別企画◇BEST BOOK OF THE YEAR 2022
 新たな年に期待がふくらむ、この季節。振り返ると、2022年も素晴らしい文芸書に恵まれた一年だった。本誌「STORY BOX」のフルリニューアル以来、「採れたて本!」で紹介してきた本は39冊。毎号ハズレなしのフレッシュな作品に出会えると人気の本コーナーでは、特別企画として、各ジャンルの年間ベスト本を7人の評者に選んでい
採れたて本!【歴史・時代小説】
 長年、文芸編集者を務めた著者のデビュー作は、「西国無双」と呼ばれた立花宗茂の晩年をクローズアップしている。高橋紹運を父に持つ宗茂は、同じ大友家の重臣・立花道雪の娘・誾千代と結婚して婿養子になり、島津家との戦い、豊臣秀吉の九州平定、文禄・慶長の役で武勲を挙げるが、関ヶ原の戦いでは西軍に加わり敗戦後に改易された。だが長い
採れたて本!【国内ミステリ】
 思い返せば昭和の頃には誘拐事件が頻繁に起きていた記憶があるけれども、昨今は監禁目的の場合はともかく、身代金目当ての誘拐は滅多に起きないのではないか。ちょっと前の刑事ドラマでは、逆探知の時間を稼ぐため犯人からの電話への応答を可能な限り引き延ばす描写がよく見られたが、通信解析技術が発達したため今はその必要がなくなっている
採れたて本【エンタメ】
 舞台は、戦国時代の石見銀山。その時代に、銀山で生き抜く女性ウメの物語を描ききったのが本書である。ここで描かれるのは、男性と女性でどうしたって役割の差異がある銀山の世界。男性は鉱山病にかかりやすく、常に生きるか死ぬかの瀬戸際で、銀山発掘の仕事を続けている。そんな環境で生き延び、三人の男性を愛し、自分と異なる人生を送る女
採れたて本【エンタメ】
『君の名は。』『天気の子』を大ヒットさせた新海誠監督の新作長編『すずめの戸締まり』が11月11日に全国で公開される。本書『小説 すずめの戸締まり』は、それに先駆け刊行された自身による小説版だ。『秒速5センチメートル』以降、新海は度々自作の小説化を手がけ、特に『君の名は。』からは、映画に先駆けた「原作小説」として刊行、公
採れたて本!【評論】
 本書は、タイトルで中身がおおかた想像できる系書物の一つといえる。テーマは超気になるが、もし二千円も払ってチャラい内容だったら……と逡巡した方も少なくないだろう。そこで読んでみた。結論を先に言うと、かなり面白いし深い。控えめに見ても三千円ぐらいの価値はある、と断言可能。なお英語空間で確認したところ、著者は学術領域でハイ
採れたて本!【海外ミステリ】
 本で読む、一話完結の警察もの連ドラ。本書『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』(竹書房文庫)の特徴を一言で言い表すなら、こうなる。著者の一人であるSF作家、マルカ・オールダーのウェブサイトによれば、ポッドキャストサービスである Serial Box(今は Realm)で、三人の共著者──フラン・ワイルド
採れたて本!【デビュー】
『このミステリーがすごい!』大賞落選作から選ばれる「隠し玉」として、またまたユニークなデビュー作が誕生した。題名から予想がつく通り、一種の誘拐ミステリーだが、その中身は予想外。なにしろ問題の〝身代金〟3億円は、まだ誰も誘拐されないうちに主人公の家に突然届けられるのである。なんだそりゃ。もう少しくわしく説明すると、題名の
採れたて本!【ライトノベル】
 小学館ガガガ文庫は、渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』や今月、アニメ映画版が公開される、八目迷『夏へのトンネル、さよならの出口』など、若い読者の生身の声に寄り添うような青春小説を数多く送り出してきたレーベルだ。その新人賞である、第16回小学館ライトノベル大賞を受賞したのが四季大雅『わたしはあなたの涙にな
採れたて本!【エンタメ】
 他人の料理の手つきを見ていると、「性格が出るな」と思う時がある。大雑把な人はやっぱり大胆な料理を作るし、繊細な人はやっぱり丁寧な料理を作る。本作は、これでもかと細かく丁寧に、そして神経質に、ロシアのお菓子作りを描写した場面から始まる。そんな繊細な料理を作る主人公キーラは、見た目は強く大胆に見えても、性格の奥底は神経質
採れたて本!【歴史・時代小説】
 梶よう子の新作は、明治時代に教育家、翻訳家、作家として活躍した若松賤子の生涯を追った歴史小説である。幕末に京都守護職に任じられた会津藩主・松平容保に従った藩士・松川勝次郎の長女として京で生まれたカシは、鳥羽伏見の戦いで京を追われ、会津城の落城も経験した。早くに母を亡くしたカシは、数え八つで横浜の生糸商の番頭・大川甚兵
採れたて本!【国内ミステリ】
 思い返せば昭和の頃には誘拐事件が頻繁に起きていた記憶があるけれども、昨今は監禁目的の場合はともかく、身代金目当ての誘拐は滅多に起きないのではないか。ちょっと前の刑事ドラマでは、逆探知の時間を稼ぐため犯人からの電話への応答を可能な限り引き延ばす描写がよく見られたが、通信解析技術が発達したため今はその必要がなくなっている
採れたて本!【デビュー】
 日本ファンタジーノベル大賞は、もともとジャンル・ファンタジー(いかにもファンタジーらしいファンタジー)のための賞ではなかったが、中断をはさんで2017年にリニューアルされてから5回目を迎えた今も、事情は変わらない。選考委員の恩田陸いわく、「ファンタジーはあくまでも手段であって、目的ではない」。というわけで、「日本ファ
採れたて本!【評論】
 本書は、現在の文化産業におけるコンテンツの「発信側」と「受信側」の認識落差の深みを可視化したことで大反響を呼んだウェブコラム記事を大幅加筆したものだ。ファスト映画に象徴される「粗筋と見所まとめ」じみたマニュアル的存在の優先的受容を「情報過多時代に観客が生き抜くための一種の必然であり、そこに旧来の本来的な、というか低効
採れたて本!【海外ミステリ】
 きみの言葉で聞かせてほしい。ゆっくりで構わないから。謎、推理、冒険。その全てが詰まったロンドンでの日々を。きみの言葉で語ってほしい。そう呼びかけてページを開けば、十二歳の少年、テッドはユーモラスに語り始める。シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』(東京創元社)は、子供の視線から見た瑞々しい景色と、家族についての悩み
採れたて本!【エンタメ】
 鉄を生み出すために必要なものは、鉄鉱石だけではない。石炭を1000℃以上の高温炉で蒸し焼きにした原料も必要なのである。そうやって石炭を強固にした原料の名を、コークス、という。本書の主人公であるひの子は、炭鉱町の出身で、現在は東京で校閲の仕事をしている。非正規雇用で働く彼女は、仕事の合間に小説を書く。ひの子の両親は既に