読みもの

◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第1回
「漂白」目次    序章──予震  「弁護人、最終弁論をどうぞ」  静まりかえった法廷に裁判長の声が響く。 「はい」  答えた川村志鶴(かわむらしづる)は、弁
思い出の味 ◈ 彩瀬まる
ブロッコリーの味噌汁 理不尽だなあ、と思うことがある。私は今、三歳の子供を育てている。今のところ概ね子育ては楽しい。楽しいのだけどストレスはある。うちの場合は食事だ。硬すぎず、噛みちぎりやすく、味がはっきりしていて、ほどよく油分があって、酸味も辛みもない、いわゆる子供向けの食べ物を作ることに飽きた。超飽きた!ああ、辛い
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                〈「きらら」2018年9月号掲載〉
omoide
 小学五年生の頃、同級生が興奮気味に、親戚がトンカツに醤油をかけて食べていたと語りました。カツに醤油はおかしいというのです。彼女の言葉に深くうなずき、私は同じぐらいの熱量で答えました。 「そうだよね、
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            〈「きらら」2018年8月号掲載〉
omoide
 今から二十年以上前の話である。当時、父は入院していた。咳がなかなか治らないと言って検査に行き、そこで肺がんが見つかったのだった。  すでに手術が出来る状態ではなく、担当医師からは余命半年です、と言わ
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      〈「きらら」2018年7月号掲載〉
omoide
 昨年末に、『ランチ酒』という作品を上梓させていただいた。十六軒の実在のお店を舞台に、若い女性がランチとお酒を楽しむというコンセプトの小説で、連載期間は昨年一月から八ヶ月、その半年ほど前からいろいろな
omoide
 萩尾望都さんの「ポーの一族」はマンガ史に残る傑作です。宝塚で舞台化されたので、早速観てきました。以来、「ポーの一族」愛が再燃し、ついでに梅干しのことを考えています。  あれは小学校五年生のときでした
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●九月二十四日  丸裸の椎茸の素に水をやる。   ●九月二十五日  丸裸の椎茸の素に水をやる。飽きてきた。   ●九月二十六日  椎茸の素に水をやる。椎茸の素は全体的に少し縮
rosuneko
〈前回のあらすじ〉  二〇一七年、ネットの世界は二つに分かたれていた。猫を持つ者と持たざる者である。持つ者は、日々その手にある猫を自慢した。SNSには持つ者のアップした猫画像が溢れ、持たざる者はただそ
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          (「きらら」2018年4月号掲載)
rosuneko
●九月十五日  K嬢が手配してくれた「もりのしいたけ農園 栽培容器付」が届いた。一見すると普通のダンボール箱であるが、この中に今日から私の猫となる椎茸の素的な何かが入っているのだ。出会いの楽しさを満
omoide
 私の思い出の味は『ねるねるねるね』です。ご存知ない方にはなにを言っているんだ? と思われてしまいそうですが、『ねるねるねるね』はクラシエフーズ様より販売されている、いわゆる知育菓子です。 ポップなイ
rosuneko
 インターネット、とりわけSNSを日々眺めていてつくづく思うのは、「世の中の人は猫を飼い過ぎではないか」ということであり、さらに「その猫を見せびらかし過ぎではないか」ということである。  実際、SNS