推してけ!推してけ!

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評者・相場英雄(作家) 盛り盛りの毒が全開! 超法規的捜査! 佐野晶という作家は不思議な人物だ。私を含め、作家を生業とするような人間は大概世間に順応できない変わり者、捻くれ者が多いが、その中でも同氏はかなり異質な存在だといえよう(褒めてます、念のため)。約二〇年前の見習い時代、勝手に師匠と仰ぐ大先輩作家からこんな言葉を
「推してけ! 推してけ!」第12回 ◆『アルテミスの涙』(下村敦史・著)
評者・今村昌弘(作家)この病室で、何かが起きた。それが最大の問題だった。 書評は、毎度のようにジレンマに陥る仕事だ。できることなら何も知らぬまま本を手にとってほしいと願いつつ、多少の内容を明かさないことには魅力が伝わらない。この物語はある私立病院に勤める産婦人科医、真理亜の視点で幕を開ける。ある夜当直についていた真理亜
「推してけ! 推してけ!」第11回 ◆『ヴァイタル・サイン』(南 杏子・著)
評者・西川史子(医師・タレント)あまりに無常で、どうにもやるせない現実との闘い 一言でいうと、医療現場の日常を当事者の目線でリアルに描いた小説。私にとっては身近に感じられる出来事の連続で、気が付くと、一気に読み終えている自分がいました。看護師さんからの目線で、多くの患者さんに感じること、そこから自分の人生について考える
「推してけ! 推してけ!」第10回 ◆『シンデレラ城の殺人』(紺野天龍・著)
評者・千街晶之(ミステリ評論家) ああ言えばこう言うシンデレラの法廷推理戦術 近年、パラレルワールドを舞台にしたり、幽霊やゾンビなどの実在を謎解きの前提にしたり……といったタイプのミステリが「特殊設定ミステリ」と呼ばれている。二○一八年に『ゼロの戦術師』でデビューし、科学の代わりに錬金術が文明を形成している架空世界を舞
「推してけ! 推してけ!」第9回 ◆『シンデレラ城の殺人』(紺野天龍・著)
評者・杉江松恋(書評家) もしかすると世界で一番好きなシンデレラ あ、このシンデレラいいじゃない。素敵。主人公の魅力でまず、ばっちり心を掴まれたのだ。紺野天龍『シンデレラ城の殺人』は、有名すぎるほどに有名なあの童話を下敷きにした、読みどころ満載のミステリーである。物語の舞台となるのは、架空の王国イルシオンだ。現国王の跡
「推してけ! 推してけ!」第8回 ◆『超短編! 大どんでん返し』(小学館文庫編集部・編)
評者・竹本健治(作家) この作家博覧会を見逃す手はない 乾くるみ、蘇部健一、似鳥鶏、米澤穂信、日明恩、田丸雅智、辻真先、井上真偽、東川篤哉、葉真中顕、法月綸太郎、呉勝浩、翔田寛、下村敦史、上田早夕里、白井智之、西澤保彦、恩田陸、深緑野分、大山誠一郎、青崎有吾、青柳碧人、伽古屋圭市、柳広司、北村薫、夏川草介、乙一、
「推してけ! 推してけ!」第7回 ◆『緑陰深きところ』(遠田潤子・著)
評者・北上次郎(文芸評論家) 諦観と哀しみと力強い決意が心に残る 冒頭は一枚の絵葉書だ。雛人形の写真が印刷されている。正面から撮った男雛と女雛だ。通信欄には達者な筆でこう記されている。 花開萬人集 花盡一人無 但見雙黄鳥 緑陰深處呼 ──花開けば万人集まり 花尽くれば一人なし ただ見る双黄鳥 緑陰深き処に呼ぶを
「推してけ! 推してけ!」第6回 ◆『かすがい食堂』(伽古屋圭市・著)
評者・瀧井朝世(ライター) 美味しい料理の先に希望を見出す とても丁寧に、真摯に書かれた小説。それが、伽古屋圭市『かすがい食堂』を読んで真っ先に抱いた印象だ。駄菓子屋の奥にある、とても小さな子ども食堂の物語である。憧れていた映像制作の会社に入ったものの激務で倒れ、3年勤めて退職した春日井楓子は、80歳になる祖母が営んで
「推してけ! 推してけ!」特別編 ◆『臨床の砦』(夏川草介・著)
評者・知念実希人(作家・医師) 現役医師がコロナ禍の地域医療をリアルに描いたドキュメント小説 二〇二〇年の初め、数か月後に予定されているオリンピックを待ち望んでいた日本の「日常」は誰も気づかないうちにゆっくりと、しかし確実に侵食されはじめていた。中国の武漢で報告された原因不明の肺炎の原因は、一月には新型のコロナウイルスによる感染症であると判明し、
「推してけ! 推してけ!」第5回 ◆『鳴かずのカッコウ』(手嶋龍一・著)
評者・後藤謙次(ジャーナリスト) 近未来の国際社会に於ける日本の見取り図 著者との初めての出会いは今から約四十年前に遡る。首相官邸記者クラブでNHKと共同通信の政治部記者同士で、ともに時の鈴木善幸首相のいわゆる総理番だった。著者の前任地はNHK横須賀支局。通称「番小屋」と呼ばれた小部屋で雑談していた時のことだ。著者がさりげなく漏らしたエピソードが今も忘
「推してけ! 推してけ!」第4回 ◆『9月9日9時9分』(一木けい・著)
評者・浅野智哉(ライター・著述家) 南国の果実のように鮮やかな飛躍 何人もの実力派を輩出してきた新人賞『女による女のためのR─18文学賞』で、近年最高の収穫作家と呼べるのが、一木けいだ。2016年、読者賞となったデビュー作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』が、アーティストの椎名林檎から絶賛され、1作目にして話題をさらった。続けて発表した『愛を知
「推してけ! 推してけ!」第3回 ◆『あんときのRADWIMPS 「人生 出会い」編』(日野 淳・著)
評者・日野 淳(ライター・編集者) 描かれる表現者の壮絶な業 大ヒット映画『君の名は。』『天気の子』の音楽を担当し、一躍国民的ロックバンドとなったRADWIMPS。本書の著者は彼らのレコード会社担当スタッフ。高校生だったRADWIMPSを知り、野田洋次郎という全く新しい才能が生み出す楽曲に魅了され、以来ずっと共に歩み続けている。
「推してけ! 推してけ!」第2回 ◆『私のカレーを食べてください』(幸村しゅう・著)
評者・印度カリー子(スパイス料理研究家) カレー愛が形作る人生 世界で日本ほどカレーの種類が豊かな国はないかもしれない。一般的なルーのカレーから、ホテルの欧風カレー、蕎麦屋のカレー、インドカレー、スパイスカレー、和風の創作カレー……。カレーという一言で括れないほど広大な料理を愛している国民こそが日本人だ。
「推してけ! 推してけ!」番外編 ◆『スクリーンが待っている』(西川美和・著)
評者・北村 薫(作家) 創造の聖域をかいま見せてくれる本 この本の中心をなしているのは、著者が、映画『すばらしき世界』をいかにして完成させたか――その経過を語る文章です。
「推してけ! 推してけ!」第1回 ◆『アンダークラス』(相場英雄・著)
評者・藻谷浩介(地域エコノミスト) 金がないか、心がないか。本当の下層(アンダークラス)はどっちだ? 寒風吹きすさぶ、初冬の秋田県能代市郊外。凍てつく水路に、車椅子ごと落ちて死亡した、末期がんの老女。介護職員の若いベトナム人女性が、自殺幇助容疑で逮捕される。