三宅香帆

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採れたて本!【エンタメ】
 自分が働いて稼いだお金を、一体何のために使いたいか。そう問われると、皆が「幸せのため」だと答えるのではないだろうか。鞄や服を買うのも、生活用品を買うのも、家族で暮らす場所を買うのも、休日に過ごす旅行先の宿泊を買うのも、すべて自分や周囲の人間の幸せが手に入ると思っているからだろう。しかし他人や時代の空気に流されず、何が
採れたて本!特別企画◇BEST BOOK OF THE YEAR 2022
 新たな年に期待がふくらむ、この季節。振り返ると、2022年も素晴らしい文芸書に恵まれた一年だった。本誌「STORY BOX」のフルリニューアル以来、「採れたて本!」で紹介してきた本は39冊。毎号ハズレなしのフレッシュな作品に出会えると人気の本コーナーでは、特別企画として、各ジャンルの年間ベスト本を7人の評者に選んでい
採れたて本【エンタメ】
 舞台は、戦国時代の石見銀山。その時代に、銀山で生き抜く女性ウメの物語を描ききったのが本書である。ここで描かれるのは、男性と女性でどうしたって役割の差異がある銀山の世界。男性は鉱山病にかかりやすく、常に生きるか死ぬかの瀬戸際で、銀山発掘の仕事を続けている。そんな環境で生き延び、三人の男性を愛し、自分と異なる人生を送る女
採れたて本!【エンタメ】
 他人の料理の手つきを見ていると、「性格が出るな」と思う時がある。大雑把な人はやっぱり大胆な料理を作るし、繊細な人はやっぱり丁寧な料理を作る。本作は、これでもかと細かく丁寧に、そして神経質に、ロシアのお菓子作りを描写した場面から始まる。そんな繊細な料理を作る主人公キーラは、見た目は強く大胆に見えても、性格の奥底は神経質
採れたて本!【エンタメ】
 鉄を生み出すために必要なものは、鉄鉱石だけではない。石炭を1000℃以上の高温炉で蒸し焼きにした原料も必要なのである。そうやって石炭を強固にした原料の名を、コークス、という。本書の主人公であるひの子は、炭鉱町の出身で、現在は東京で校閲の仕事をしている。非正規雇用で働く彼女は、仕事の合間に小説を書く。ひの子の両親は既に
採れたて本!【エンタメ】
 主人公は世界で一番有名な戯曲家──シェイクスピア。その名を知らない人はいないであろう歴史上の人物であるが、彼の史実には意外と謎が多い。本書は、シェイクスピア史において「劇作家になるまでの」空白の数年間にスポットライトを当てた一冊だ。イギリスの田舎で売れない俳優として暮らしていたシェイクスピア。彼は年上の女性と結婚した
採れたて本!【エンタメ】
 恋愛ほど、「もしも」を考えてしまうジャンルはないのかもしれない。もしも自分がこうしていたら、あるいは、もしも状況がこうだったら、あるいは、もしも相手がこう言っていたら……。どうしても考えてしまうのが、恋愛なのではないだろうか。それはきっと仕事や勉強や趣味や育児や、その他多くの悩みごとに比べ、自分ではどうしようもない部
採れたて本!【エンタメ】
「女の子たちが……、女性が夢見がちでいられる世界が本来のあるべき姿なんですよ」本書『らんたん』にはこんな台詞が登場する。しかし夢を見ることは存外難しい。夢を見ては破壊され、押し潰されるような世の中であっては、夢見がちになんてなれない。だからこそ実際に、女性も夢を見られるように尽力した人々が、日本にいた。本書はそんな物語