書店員コラム

「〇〇な時に読む本」というお題で、書店員の皆様に「推し本」を紹介していただきます。

週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
 いま、わたしたちは戦争を目の当たりにしている。もちろん紛争や内戦はこれまでも常にどこかで起こり、犠牲者は絶えない。だけど、崩れて住むことのできなくなった誰かの家や、公園や、遺体が無造作に転がる道路や、そこで戸惑い、打ちひしがれる人々の声や表情が、こんなにも膨大な情報量で報道されると、あらためて戦争はいま、すぐそこにあ
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
 全寮制の男子高・霧森学院。生徒の大半は新寮にいるが、旧寮「あすなろ館」の住人は6人だけ。入寮希望者がいないのは、施設がボロだからというのもあるが、昨年、「ある事件」が発生したため敬遠されるようになったから、というのが大きい。その「あすなろ館」に新たな転入生・鷹宮絵愛(エチカ)が入寮してきた。以前からの住人、兎川雛太
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 三省堂書店 成城店 大塚真祐子さん
 自分はどのような死に方をするのだろう、とときおり考える。「わたしもいつか死ぬ」と気づいたときのことを覚えている。小学2年の夏、TVドラマで子どもの闘病シーンを観たとき、「あの子は自分かもしれない」ととつぜん思った。あれからずっと「死ぬ」ということがわかるようで、わからない。熊本で「橙書店」と併設の喫茶店「オレンジ」を
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
空港は特別な場所である。仕事、旅行、家族や友人に会いに、見送りに、飛行機マニアとして、さまざまな理由で訪れ、空を見上げながら人生の1ページが刻まれていく。著者の《空港》への愛が込められた本作のタイトル『風の港』の3文字からは、たくさんの人々が行き交うターミナルの賑わいと、華やかな雑踏に、笑顔や涙がドラマチックに浮かび上
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
 あの頃、星占いは「恋愛」の欄を真っ先にチェックして、思いが通じるだの通じないだの、そんな記述に一喜一憂した。まだアルバイトだし、十分に健康だから、それ以外の欄に必要性を感じなかった。恋愛は、今振り返るととても簡単だった。男は女が好きで、女は男が好きだった。そして、「一人」が好きな人は、当たり前に「一人」で、それ以外の
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 リカちゃん人形さえあれば何時間でも一人で遊んでいられる子供だった私は、4つ離れた従姉が実質姉のようなものだったこともあり、兄弟姉妹がいないことの寂しさや不自由さは正直感じたことがない。ないのだが、私はとにかく「お兄ちゃん」という存在に憧れていた。ただただ私を甘やかし、近所の悪ガキから守ってくれるようなヒーローが欲しか
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
 鳥肌が立つ、という表現は恐怖を感じたときにつかうものだと指摘されたことがあるけれど、感動が極まって全身をぶるっと震えが走ったとき、やはりぷつぷつ鳥肌が立つのは生理現象としてたしかにあることだ。本を読んでいてさーっと肌が粟立つほどの感情の高ぶりが起こると、ああこんなにも物語に没入していたんだなあと、はっとする。そこまで
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
「犬を飼う」リンは、殺処分される予定だった保護犬をシェルターから引き取り、飼うことにした。ニホン犬だったため「タロウ」と名付けた。タロウにはお腹から性器にかけて、ひどい傷があり、痛ましかった。リンが犬を飼ったのは、親友のアリサが犬「ジョン」を飼っていたからだ。だが「ドイツ区」に行ったアリサから、ジョンは死んでしまい、新
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 三省堂書店 成城店 大塚真祐子さん
 さくら通り商店街というありふれた名前のアーケードに、様々な過去をもつ女たちが集い、やがて一人の男をめぐり、ありふれた騒動が勃発する。その一連をとおして女たちがどのようにふるまい何を思ったか、各々の面ざしを丹念に見つめた群像劇は、予想もしない結末へと向かう。二十九歳の万里絵は上司との不倫ののち会社を退職し、商店街の中程
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
歌舞伎に興味があるが、まだ一度も観たことはなく、いつか観に行くぞ!と意気込みのある私が、蝉谷作品を読んだらどうなったか?それはまさに《江戸というアトラクションに乗せられた》胸躍る体験だったのだ。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
出版社に勤務する女性・村瀬薫子の次兄・村瀬真也が、三人の自殺志願者を殺害した容疑で逮捕された。一流私立大学を経て商社に勤務した長兄・一也は、何でも良く出来たがプライドが高く、家庭内でも陰湿に次兄をいじめるような人だった。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 スーパーのビニール袋が開けられない。正式名称はわからないが、サッカー台に鎮座している、ぐるぐる巻きにされた「あの透明なビニール袋」がとにかくまあ開けられないのだ。皆悩みは同じようで、以前は水で濡らしたタオルが置いてあったのだが、コロナをきっかけに不特定多数の人が触るものは不衛生と判断されたのか、撤去されてしまった。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん TSUTAYA 中万々店 山中由貴さん
1970年代、あるロックバンドが最高のアルバムをひっさげて人々の記憶に残る名曲をいくつも残しながらヒットチャートを駆けのぼり、そして突然音楽シーンから姿を消した。「ザ・シックス」のフロントマン、ビリーと、天性の歌声をもつデイジー・ジョーンズが出会い、たがいに相容れないまま詞とハーモニーをぶつけ合い、火花を散らすように音楽を生み、聴衆を魅了して伝説をつくったロックバンドこそ、あの「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックス」だ。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 啓文社 西条店 三島政幸さん
 角川春樹氏といえば、最近ではすっかりワイドショー的な観点から、ちょっと変わった人、というイメージの方が強くなってきているように思う。結婚・離婚を何度も繰り返しているとか、日本の大地震を祈って止めているらしいとか、麻薬取締法違反で逮捕されたことがあるとか。あるいは出版人として語る場合にしても、角川のお家騒動により角川書
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 三省堂書店 成城店 大塚真祐子さん
 日本語を学習し、職を得て来日する米国人青年の京都での暮らしを描く。第二回京都文学賞を満場一致で受賞した中篇は、日本語を母語としない著者によって書かれた。  この物語に用いられているのが「きみ」という二人称であることを、この本をはじめてひらくだれもが冒頭で理解し、同時にこの人称に、物語をつらぬく芯のようなものがあると直
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
ミニシアターといえば浮かぶ作品がある。まさにミニシアターブームの火付け役となり、当時自身も足を運んだ『ニュー・シネマ・パラダイス』と『ベルリン・天使の詩』だ。小さめの空間でスクリーンから語りかけられた映画は、今も忘れられない。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うなぎBOOKS 本間悠さん
小さい時から怖いものが好きだ。たぶん、原体験は夏休みに放送されていた『あなたの知らない世界』。そして、藤子不二雄(A)先生の『魔太郎が来る!』や、楳図かずお先生の漫画たち。あの頃は、『世にも奇妙な物語』のホラー回も手加減なしで怖かった。
週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん 成田本店 みなと高台店 櫻井美怜さん
 あなたに友達はいますか?「お前たち、クラス全員誰一人欠けることなく集まることはこの先一生ないぞ」と中学卒業式の日に先生がそう言った。それを聞いた私たちはそんなわけがない、クラス会で必ず集まるんだと騒ぎ、廊下まで響き渡るブーイングが起きたが、賭けてもいいと先生はやけに強気だった。別に誰かが死ぬと言っているわけじじゃない