自著を語る

◇自著を語る◇  五條 瑛『パーフェクト・クオーツ 北の水晶』
『パーフェクト・クオーツ 北の水晶』は、在日米軍のHUMINT担当の情報分析官を主人公とするシリーズものの諜報小説の中の一作だ。このシリーズはすべてタイトルに鉱物の名称を使っているために一部の人たちの
◇自著を語る◇  はらだみずき『海が見える家 それから』
 小説の最後のページのその先は、本来、読者に委ねるべきもの。僕も同じ意見ですが、時にそれは言い訳のように聞こえる場合もあります。その先、続きを書くことは、それが予定されていない場合、かなり勇気のいる作
◇自著を語る◇  山本甲士『つめ』
 拙著の中に〔巻き込まれ型小説〕という名称でくくられている作品がある。  最初は二十年ほど前に書いた『どろ』という、隣人トラブルがエスカレートしてゆく話だった。結果的にあまり売れず、文庫化された後でち
◇自著を語る◇  榎本憲男『DASPA 吉良大介』
 執筆に際して僕が念じているのは、小説とはまずは面白いお話でなければならないというテーゼです。  都内のマンションでアメリカ人のプログラマーが毒殺される。その手口から外国の関与が見えてきて、さらにテロ
◇自著を語る◇  石井光太『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』
「宮城県石巻市の遊郭で育った一人の産婦人科医がいた。彼は中絶手術に嫌気が差し、出産させた上で赤ちゃんを不妊の夫婦にあげる斡旋をはじめた。そしてその事実を公表した上で、国や医師会を敵に回して闘い、勝ち取
◇自著を語る◇  内田洋子『サルデーニャの蜜蜂』
 二〇一七年の秋、東京で『本の窓』の連載の打ち合わせのために編集者と会っていた。  ちょうどその時期、私はイタリアの山奥での取材の真っ只中にいた。テーマが多岐にわたる上に、舞台となる時代も古代から現代
◇自著を語る◇  福澤徹三『羊の国のイリヤ』
 これを書いているのは二〇二〇年四月二十一日、世界は新型コロナウイルスによる混乱の真っ只中にある。インフルエンザの十倍といわれる致死率に加え、感染予防のための行動自粛が経済を蝕み、恐怖と不安が渦巻いて
◇自著を語る◇  上田秀人『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚』
 時代は繰り返す。あるいは歴史は繰り返すとよく言われる。  平和は次の戦争までの猶予でしかないといううがった見方もできるという。それだけ人は争いを繰り返してきたのだ。  一六一五年、大坂夏の陣をもって
◇自著を語る◇  柳 広司『太平洋食堂』
 何年か前、ある編集者からこんなことを言われた。  ──柳さんは政治的なことを書かれるので、うちでは書いて頂けません。  二十一世紀の、日本国内での話である。  今回上梓した『太平洋食堂』は、明治政府
◇自著を語る◇  角幡唯介『エベレストには登らない』
 心のなかに無をかかえるのは凡人には不可能である。何十年にもわたる修練のすえに煩悩を克服し、解脱して悟りを開いたものにしか無の境地はひらかれない。したがって九十九・九九パーセントの人はつねに何かを考え
◇自著を語る◇  鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』
 映画でも小説でも、エンドロールが流れたあと、本を閉じたあとに、その中に出てきた人たちの人生がその後も続いているように感じられる作品に惹かれる。  デビュー作『さよなら、田中さん』をお読みいただいた方
◇自著を語る◇  森沢明夫『ぷくぷく』
 誰の人生にも「壁」は付きものです。  しかも、その「壁」の種類は色々で、努力をすれば越えられる「壁」もあれば、あまりにも高すぎて、もはや絶望すら抱かせるような「壁」もあります。  最もよくある身近な
◇自著を語る◇  中澤日菜子『お願いおむらいす』
 とある秋の一日、東京郊外の公園で開かれた〈ぐるめフェスタ〉、そこに集うさまざまなひとびと──出店者や運営事務局員、ステージでライブをするアイドル歌手、そして偶然訪れた父と娘たちを通して、彼らの人生の
◇自著を語る◇  角田光代『字のないはがき』
 子ども時代に見ていたテレビドラマをのぞけば、向田邦子作品に出会ったのは二十二、三歳のころだ。このときすでにご本人はこの世の住人ではなかった、ということもあって、この作家は私には最初からものすごく遠い
◇自著を語る◇  室積 光『都立水商1年A組』
 商売を学ぶためには商業高校がある。技術を学ぶ工業高校もある。農業を学ぶには農業高校、漁業を学ぶには水産高校……ならば世の中に水商売というものがある以上、水商業高校も必要ではないか?  今から十八年前
◇自著を語る◇  鈴木英治『突きの鬼一 赤蜻』
 デビューして二十年、これまで百六十冊を超える作品を上梓した。  そのうち四分の一以上を占めるのがすでに四十四巻を数え、累計三百万部突破も視野に入る「口入屋用心棒」シリーズである。  この第一作が双葉
◇自著を語る◇  ドリアン助川『水辺のブッダ』
 ホームレスの男と、風俗嬢が主役だ。情ではなく、哲学を柱としたこの物語に、『水辺のブッダ』とタイトルをつけた。  今世紀の初めの頃、私はマンハッタンに住んでいた。摩天楼の隙間から覗く暗く蒼いイーストリ
◇自著を語る◇  織田和雄『天皇陛下のプロポーズ』
 今年四月末を以て平成が終わります。  多くの国民にとって、時代の節目を迎えることは、新しい世の中が動き出すことへの期待と、様々な思い出に彩られた過去への惜別が絡み合い、とても一言では言い表せない思い