読みもの

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第4回
今まさに「原稿まだですか」という催促メールが来てこの原稿を書いている。 私は、クオリティを始めとした全てを犠牲にして、〆切りだけは守るようにしているのだが、最近年のせいか、〆切り自体を忘れるのはもち
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 ハーヴェイは、差別とか偏見とか抽象的なことばを繰り返すだけだったから、どんなことがあったのか、具体的にはわからなかった。わからなかったけれど、15か16でアメリカにやって来たハーヴェイのしなやかだ
思い出の味 ◈ 今村翔吾
 かつて私は好物でもない食材を、必死で追い求める日々を過ごした。  京都府の南端、相楽郡和束町と謂う地がある。面積は、東京二十三区で一番大きい大田区よりも広い約六十五㎢ 。人口は約四千人。山河が大半を
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第27回
「漂白」目次       2 「虚偽自白?」森元逸美(もりもといつみ)が言った。  大きな作業デスクに椅子を配した共有スペースでの、朝一番の打ち合わせ。メインとなるのは増山の案
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 結局、綾音さんは自腹でチケットを買って帰国することになったのだけれど、その前に、どこでもらってきたのか、体じゅうベッドバグ(南京虫)に刺されて帰ってきた。まずい、と思ったけれど、追い出すわけにはい
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第26回
「漂白」目次 『たしかに、われわれも社会の一員として、今回のような事件を防ぐにはどうしたらいいか、ということも考える必要がありそうですね。天宮さん、ありがとうございます』  キャスターが頭を下げ、カ
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第3回
  あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 「よろしく」と言うのはもちろん私の本を買って燃やすことだ。だからと言って本屋には行くな、ポチれ。書店に行ったところで私
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
「いや、2万ドルでも3万ドルでも、出来高次第でもっと出してもいい。君だって、ちょっとした小遣いが欲しいだろう」  なんだか怪しい話が出てきそうな気配で、「忙しくてなかなか時間が取れないから、無理だと
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第25回
「漂白」目次    第二章──窒息       1  男は片手をパンツのポケットに突っ込み、もう片方の手で煙草(タバコ)を喫(す)っている。その映像に、女性のものものしい
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車
 ハーヴェイは見たところ昔と全然変わっておらず、ハーヴェイが足踏みしている間にわたしの方が追いついたみたいな感じだった。わたしとしては、短い時間の中でも、昔話を交わしたり、これまでの空白の年月を埋め
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第2回
  連載2回目ということで、今回は景気よく「打ち切り」の話をしたいと思う。 私も9年漫画家をやっているので、連載が終了している作品も多々あるのだが、その全てが打ち切りで終わっている、パーフ
本の妖精 夫久山徳三郎 Book.53
                〈「きらら」2019年1月号掲載〉
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第4話 運転手付きの車①
 ハーヴェイは、中国生まれのユダヤ教徒で、日本人を含むいろいろな血が混じっていて、一見したところ何人なのか見当のつかない風貌をしている。初めて会ったのは、わたしが大学院を出たばかりのころで、20代の
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第24回
「漂白」目次  番組が始まる。トップニュースはやはり増山淳彦の事件だった。これまでの報道をなぞったあとで、この番組では、独自取材をして得た一般人のコメントを映し始めた。  一人目は、
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード③
 ジェンナは、ディーンとインテリ向けの雑誌のパーソナル欄で知り合った。6、7年前のことだ。いや、もう10年近くになるかもしれない。  当初、ジェンナは、「ほとんどわたしと背丈が変わらない」とか「もっ
ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第1回
  誰も私のことを知らないと思うので最初に自己紹介をさせてもらいたい。 名前は「カレー沢薫」職業は無職、あとこれは本名だ。 無職だが副業として漫画を描いたりこのような文章を書いているので担
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第23回
「漂白」目次  志鶴は、自分のデスクにバッグを置くと、ノートパソコンと筆記具を持ってテレビのある会議室の一つへ向かった。森元逸美に頼んでおいたワイドショーとニュース番組の録画をチェックする。事件に関
滞米こじらせ日記~愛しきダメな隣人たち~ 桐江キミコ 第3話 マネー・ア・ラ・モード③
 父親はミケーレに自制心を付けさせようとしたが、母親はミケーレをかばってばかりいる。あのとき、母さんはミケーレを猫かわいがりするのでなく、ちゃんと自制心を付けさせるべきだったんだ。おかげでミケーレは