熱血新刊インタビュー

今村翔吾さん『てらこや青義堂  師匠、走る』
   物語は明和七年(一七七〇年)に始まる。三三歳の坂入十蔵は、かつて「伊賀組始まって以来の鬼才」と称される忍者だった。戦国は終わり泰平の世が訪れた後も公儀隠密として暗躍し、野花を摘むように
青崎有吾さん『早朝始発の殺風景』
 五月中旬の早朝、郊外を走る始発電車に乗り込んだ高校二年生の「僕」は、同じ車両に一人だけ乗客がいたことに驚く。普段あまり話さないクラスメイトの女の子だ。校門が開くのは七時半にもかかわらず、五時半の始発
森 絵都さん『みかづき』
 昭和三六年から物語は始まる。千葉の小学校で用務員の職についていた大島吾郎は、放課後に子供たちを集めて勉強を教えていた。その噂を聞きつけ、長女の蕗子を潜入させたのが、シングルマザーの赤坂千明だ。吾郎に
長月天音さん『ほどなく、お別れです』
 東京で実家暮らしをしている大学四年生の清水美空は、就職活動で連戦連敗し、三年前に始めたものの休職中だったアルバイトに復帰する。スカイツリーのすぐ近くにある地上四階建ての葬儀場、坂東会館のスタッフの仕
本と鍵の季節
 本書の第一話に当たる「913」は、もともと作家七名が参加したアンソロジー『いつか、君へ Boys』(二〇一二年六月刊)のために執筆されたものだった。「少年たちが登場する青春小説」というアンソロジーの
ベルリンは晴れているか
 およそ三年ぶりの長編歴史ミステリとなった本書には、もうひとつの顔がある。ロードノベルだ。 「以前から第二次世界大戦に興味があり、『戦場のコックたち』で連合国側のアメリカを舞台にしたので、今度は枢軸国
葉真中 顕さん『凍てつく太陽』
 一九四四年一二月五日、北海道南西部の室蘭市にて物語は幕を開ける。「鉄の町」の異名を持つこの地には、海岸沿いに軍需工場が建ち並ぶ。北海道の先住民族・アイヌの出身でありながら、体制側の特高刑事となった日
浅田次郎さん 『わが心のジェニファー』
 浅田次郎はエッセイの名手でもある。JALの機内誌にて連載中の「つばさよつばさ」では、旅する喜びと驚きをテーマにしたエッセイを書き継いできた。 「子供の頃、占い師に"あなたは一生旅する運命だ"と言われ
垣根涼介さん『信長の原理』
 過去に無数の作家達が描いてきた織田信長の物語を、組織論、企業論の観点から解明し、新たな光を当てる。垣根涼介の『信長の原理』は、信長のみならず「織田家」についての物語である。 「信長を題材にした歴史小
額賀 澪さん『風に恋う』
 高校に入学して間もない一年生が、かつて黄金時代を築きながらも今や落ちぶれた、吹奏楽部の部長に抜擢される。『風に恋う』は、そんなエピソードから幕を開ける。作家自身にとってもこのエピソードを獲得したこと
minatosan
『未来』を書き出す際に決めていたのは、主人公とラストシーンだったという。 「デビュー一〇年の節目となる作品で何を書こうかと考えた結果、逃げ場のない子どもが主人公の物語にしようと決めました。今まさに逃げ
shimomurasan
 四月某日、下村敦史は自身のツイッターで『黙過』が完成したことを明かした。〈「闇に香る嘘」でデビューしてから約3年半。11作目。初めて言います。初めて言えます。ようやくです。「闇に香る嘘」を超える"衝
kakimurasan
 山の麓にある集落で暮らす中学三年生の少女・住谷はじめは、ゴールデンウィーク終盤に同級生から衝撃のニュースを知らされる。この地で古から語り継がれてきた昔話「権三郎狸」の狸が、村唯一の旅館に滞在している
asaisan
 本作は二〇一六年四月から一年間、「日本農業新聞」で連載された。新聞社からの依頼内容は、今まで経験したことがない種類のものだったと言う。 「専門紙なので、読者は農業に従事してらっしゃる方が多いです。農
道尾秀介さん
 東西を流れる西取川によって「上上町」と「下上町」に分かれるその地域は、川漁師が舟の上で松明を揺らし、鮎を驚かせて網に追い込む火振り漁で知られている。もうひとつの名所は、全国的にも珍しい「遺影専門」の
黒野さん
 きっかけは、飲み会での雑談だった。 「『限界集落株式会社』の続編(『脱・限界集落株式会社』)を書いて、地域復興という題材に関しては自分なりにやり切った、このシリーズの続きはもうないなと感じていたんで
konndou sann
 小説家の「わたし」が、手書きのファンレターを読むシーンから物語は始まる。〈実は、お手紙を書いたのは、先生がわたしたちの話に興味を持つのではないかと思ったからです。(中略)わたしと友達ふたりの、三十年
小嶋さん
 インタビュー当日の朝、小嶋陽太郎は特急あずさに乗って長野県松本市から上京した。彼は生まれ故郷である松本に今も暮らしている。『悲しい話は終わりにしよう』は、第七作にして初めて、この町を実名で登場させた