熱血新刊インタビュー

川越宗一さん
 九州にルーツを持ち大阪で生まれ育った著者が、北海道の先住民族たちの物語を書くことになったきっかけは、夫婦旅行だった。妻のリクエストで二〇一五年夏に北海道へと足を運んだところ、知られざる歴史と出合った
髙村薫さん近影
 二〇一七年早春、警察上級幹部を育成する研修施設・警察大学校で、合田雄一郎は教授を務めている。勤務地の最寄り駅である西武多摩川線多磨駅前は、武蔵野と呼ばれる自然豊かでのどかな風景が広がる土地だ。しかし
古市憲寿さん近影
 二二歳の翔太は有名大学に進学したものの就職活動に失敗し、ふと見上げた新宿の高層ビルで偶然目にした、窓ガラスの清掃員として働くことを衝動的に決めた。品川区・新馬場の狭いアパートに暮らし、毎日都心各地の
詠坂雄二さん『君待秋ラは透きとおる』
 人智を超えた特殊能力を、運命的に手にした者同士が覇権を巡って争い合い、時に手を組んで大いなる敵に立ち向かっていく──。いわゆる「異能バトルもの」は、山田風太郎の小説『甲賀忍法帖』を起源に持ち、現在は
柚月裕子さん
 平成一〇年一二月、法廷に立った検事が住居侵入および窃盗で起訴された被告人に対し、無罪の論告(検察官が裁判官に、被告人に対して無罪の判決を出すよう要請すること)をおこなうシーンで第一編「裁きを望む」は
横山秀夫さん『ノースライト』
   警察官ではなく、建築士が主人公の物語に取り組んだきっかけは、一五年以上前まで遡る。 「二〇〇〇年くらいから三年半ほど、仕事部屋のマンションの一室から一歩も出ずに、ひたすら小説を書く生活
今村翔吾さん『てらこや青義堂  師匠、走る』
   物語は明和七年(一七七〇年)に始まる。三三歳の坂入十蔵は、かつて「伊賀組始まって以来の鬼才」と称される忍者だった。戦国は終わり泰平の世が訪れた後も公儀隠密として暗躍し、野花を摘むように
青崎有吾さん『早朝始発の殺風景』
 五月中旬の早朝、郊外を走る始発電車に乗り込んだ高校二年生の「僕」は、同じ車両に一人だけ乗客がいたことに驚く。普段あまり話さないクラスメイトの女の子だ。校門が開くのは七時半にもかかわらず、五時半の始発
森 絵都さん『みかづき』
 昭和三六年から物語は始まる。千葉の小学校で用務員の職についていた大島吾郎は、放課後に子供たちを集めて勉強を教えていた。その噂を聞きつけ、長女の蕗子を潜入させたのが、シングルマザーの赤坂千明だ。吾郎に
長月天音さん『ほどなく、お別れです』
 東京で実家暮らしをしている大学四年生の清水美空は、就職活動で連戦連敗し、三年前に始めたものの休職中だったアルバイトに復帰する。スカイツリーのすぐ近くにある地上四階建ての葬儀場、坂東会館のスタッフの仕
本と鍵の季節
 本書の第一話に当たる「913」は、もともと作家七名が参加したアンソロジー『いつか、君へ Boys』(二〇一二年六月刊)のために執筆されたものだった。「少年たちが登場する青春小説」というアンソロジーの
ベルリンは晴れているか
 およそ三年ぶりの長編歴史ミステリとなった本書には、もうひとつの顔がある。ロードノベルだ。 「以前から第二次世界大戦に興味があり、『戦場のコックたち』で連合国側のアメリカを舞台にしたので、今度は枢軸国
葉真中 顕さん『凍てつく太陽』
 一九四四年一二月五日、北海道南西部の室蘭市にて物語は幕を開ける。「鉄の町」の異名を持つこの地には、海岸沿いに軍需工場が建ち並ぶ。北海道の先住民族・アイヌの出身でありながら、体制側の特高刑事となった日
浅田次郎さん 『わが心のジェニファー』
 浅田次郎はエッセイの名手でもある。JALの機内誌にて連載中の「つばさよつばさ」では、旅する喜びと驚きをテーマにしたエッセイを書き継いできた。 「子供の頃、占い師に"あなたは一生旅する運命だ"と言われ
垣根涼介さん『信長の原理』
 過去に無数の作家達が描いてきた織田信長の物語を、組織論、企業論の観点から解明し、新たな光を当てる。垣根涼介の『信長の原理』は、信長のみならず「織田家」についての物語である。 「信長を題材にした歴史小
額賀 澪さん『風に恋う』
 高校に入学して間もない一年生が、かつて黄金時代を築きながらも今や落ちぶれた、吹奏楽部の部長に抜擢される。『風に恋う』は、そんなエピソードから幕を開ける。作家自身にとってもこのエピソードを獲得したこと
minatosan
『未来』を書き出す際に決めていたのは、主人公とラストシーンだったという。 「デビュー一〇年の節目となる作品で何を書こうかと考えた結果、逃げ場のない子どもが主人公の物語にしようと決めました。今まさに逃げ
shimomurasan
 四月某日、下村敦史は自身のツイッターで『黙過』が完成したことを明かした。〈「闇に香る嘘」でデビューしてから約3年半。11作目。初めて言います。初めて言えます。ようやくです。「闇に香る嘘」を超える"衝