「生誕70年!中上健次文学その意義と軌跡」をテーマに、島田雅彦×中上紀×高澤秀次がトークセッション
今年の熊野大学夏期セミナーは8月5日からの3日間
高澤 時間も残り少なくなりました。最後に紀さんから、中上健次の死の翌年から延々と続いております熊野大学夏期セミナーの今年の予定についてお話いただいて締め括りとしたいと思います。
中上 熊野大学というものを生前の中上健次が1990年ぐらいに設立いたしまして、それからずっと続いて、もう26年ぐらいですね。
高澤 夏期セミナーは93年から始まりました。
中上 そうですね。セミナーは93年からですが、熊野大学は90年にできました。建物もなければ、入試もなく、卒業は死ぬときというモットーで。
高澤 最初に中上健次本人が卒業してしまった(笑)。
中上 本当にその通りです。このセミナーを毎年8月上旬にやっているんですが、ことしは8月5日から5、6、7と、金、土、日に和歌山県新宮市ので行われます。島田雅彦さんも3回いらしていただきました。
ほかにもたくさんの方、例えば瀬戸内寂聴先生は瀬戸内晴美先生だったときから何度もいらしてくださっています。今年は、柄谷行人氏、浅田彰氏、斎藤環氏、中森明夫氏、田中康夫氏などを講師にお迎えし、ほかにもサプライズゲストがいらっしゃる予定です。楽しみにしていただければと思います。
[プロフィール]
☆島田雅彦(しまだ・まさひこ)
1961年、東京生まれ。作家。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。在学中の1983年、「海燕」掲載の『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー、芥川賞の候補となる。1984年、『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞受賞。1998年に近畿大学文芸学部助教授に就任、2003年からは法政大学国際文化学部教授。2006年、『退廃姉妹』で伊藤整文学賞を受賞、2008年、『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2010年下半期より芥川賞選考委員となる。
☆中上 紀(なかがみ・のり)
1971年、東京生まれ。作家。中上健次の長女。ハワイ大学芸術学部美術科卒業。高校、大学時代を含めた十年間米国で暮らし、外からアジアや日本を見つめた経験が、創作の原点となる。99年 『彼女のプレンカ』ですばる文学賞受賞。主な著書に、『イラワジの赤い花』『彼女のプレンカ』『パラダイス』『悪霊』『夢の船旅 父中上健次と熊野』『いつか物語になるまで』『アジア熱』『水の宴』『シャーマンが歌う夜』『熊野物語』など。
☆髙澤秀次(たかざわ・しゅうじ)
1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。文芸評論家。
主な著書に『評伝中上健次』、『中上健次事典』の他、『戦後思想の「巨人」たち』、『文学者たちの大逆事件と韓国併合』、『吉本隆明1945-2007』、『江藤淳―神話からの覚醒』など。
中上健次の年譜を制作。監修に『別冊太陽 中上健次』のほか中上健次関連の編著多数。
現在、小学館発売「中上健次電子全集」の特別監修を務めている。
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初出:P+D MAGAZINE(2016/08/02)