かとう みあき
加藤実秋
一九六六年東京都生まれ。二〇〇三年「インディゴの夜」で第10回創元推理短編賞を受賞し、デビュー。『インディゴの夜』『メゾン・ド・ポリス』シリーズなどドラマ化作多数。近著に『警視庁アウトサイダー』。
『警視庁レッドリスト』が発売後、すぐに重版がかかったことをうけて、シリーズ化すべく加藤実秋さんと昨年末に打合せを行った。加藤さんと続編を考えるのは、『モップガール』以来だ。わたしには、結構好きな仕事のひとつでもある。とは言え、かつてはうんうんとお互いに唸りながら、半日以上打合せを重ねたものだった。
CASE2 マインドスイッチ : 駆け出し巡査はストーカー!?(4) 11 生田が尾行の被害届は出さないと言うので、続きは明日ということにして生田、水野ともに帰宅させた。多々良は柴崎と高橋への対応に向かい、みひろと慎は会議室に戻った。
CASE2 マインドスイッチ : 駆け出し巡査はストーカー!?(2) 5 署長室を出たみひろと慎は、町田北署の二階の会議室を借りて聞き取り調査の準備を始めた。間もなく多々良課長が証拠物件保管用のジップバッグに入った投書と、生田の事故の関係書類を届けてくれたので目を通した。
CASE 2 マインドスイッチ : 駆け出し巡査はストーカー⁉ 1 「──東中野署に所属する二十代の男性巡査長が特殊詐欺通報システムを悪用し、管内在住の高齢女性から約三百万円を詐取したものである。発覚の端緒は当庁への匿名での通報であり、監察係が調査を実施し疎明に至った。男性巡査長は詐欺罪で起訴されるとともに免職の懲戒処分が決定し、同日依願退職した」
CASE1 シークレット・ガーデン : 男社会の女の園(5) 12 甘食、プリンパン、チョコチップメロンパン──ああ、揚げパンもあるんだ。心の中でそう呟いたとたん、「揚げパン、おいしいですよ。この店なら、行ったことがあります。カバのイラストがトレードマークで、看板や包装紙、インテリアにも使われています」
CASE1 シークレット・ガーデン : 男社会の女の園(4) 10 スマホのスピーカーからツーツーという話中音が流れだし、慎は電話を切ってため息をついた。
CASE1 シークレット・ガーデン : 男社会の女の園(3) 7 下げていた頭を上げた時、川浪は安堵と解放感で軽い興奮状態だった。みひろたちのセダンが見えなくなったのを確認し、吉祥寺署の駐車場を出て歩道を歩きだした。五日市街道沿いのコンビニに入り、カゴを手に奥のスイーツコーナーに向かった。
CASE1 シークレット・ガーデン : 男社会の女の園(2) 4 吉祥寺署は、吉祥寺の街の賑やかさから少し離れた五日市街道沿いにあった。五階建ての古く大きなビルで、約三百名が勤務している。一階の駐車場にセダンを停め、みひろは慎と署内に入った。受付で慎が名乗ると、一階の奥の署長室に通された。署長と会計課長に挨拶を済ませたところに用度係長の前田が来たので、彼の案内で二階に向かった。
CASE1 シークレット・ガーデン : 男社会の女の園(1) 息を殺し、阿久津慎(あくつしん)は向かいを見つめた。体の前に両手でファイティングポーズを作った男が、じりじりと間合いを詰めて来る。男は無表情だが、全身から殺気を漂わせていた。
◎編集者コラム◎
『警視庁レッドリスト』加藤実秋
加藤実秋さんの小説『メゾン・ド・ポリス』のドラマが昨年1月にはじまった裏で、次の作品も映像化すべく密談を行っていた。
CASE5 野望と陰謀:左遷バディ、最後の調査(2)
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天井のスピーカーから、午後五時を告げるチャイムが流れた。みひろは抱えていた段ボール箱を別の段ボール箱の上に載
CASE5 野望と陰謀:左遷バディ、最後の調査(1)
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「電話を切って部屋に戻って下さい。五分後に人が来ます」
機械的にゆっくりと、中森翼(なかもり
CASE4 禁じられた関係:パートナーは機動隊員(5)
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「どういうことですか!?」
声を上げ、みひろが席を立つと豆田は眉を寄せて背中を向けた。
CASE4 禁じられた関係:パートナーは機動隊員(4)
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足を止め、みひろはアパートを見上げた。周囲は薄暗く、二階の左から二番目の窓には明かりが点っていた。
CASE4 禁じられた関係:パートナーは機動隊員(3)
9(承前)
頭を切り替え、慎はみひろに向き直って答えた。
「無論、よりよい職場環境づくりのため
CASE4 禁じられた関係:パートナーは機動隊員
5(承前)
ママに案内され、本橋はカウンターのみひろの隣に座った。
「突然すみません。監察係の本橋です。独身寮に行った
CASE4 禁じられた関係:パートナーは機動隊員(1)
1
ノートパソコンに目を向けたまま、三雲(みくも)みひろは机上のコーヒーの入った紙コップを取った。液晶ディスプレイに映し出された表
CASE3 ゴッドハンド:神にすがる女刑事(5)
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「続きは明日」と言って電話を切ったのに、一時間も経たずに慎から着信があった。みひろが出ると「奥多摩に出動です。今どちらですか?」と訊かれ、