深山くのえ

姫君を守るのは美しい鬼…平安恋物語!

 右大臣の跡取りである父親が怪しと関わったことが原因で、魔の姫に目を付けられてしまった娘の真珠。屋敷の中にまで物の怪が現れて家中が混乱し、陰陽師たちも対応に苦慮する中、三滝という家司が“近江の白銀”と呼ばれる鬼を呼び寄せる。白銀の一家は他の鬼のように人間を食わず、話が通じるのだと三滝は語るが、一同は半信半疑。だが、白銀は一瞬で物の怪を屋敷から追い払ってくれた。これで一安心、のはずが、白銀の息子である瑠璃丸によると、真珠には魔のにおいがつけられているらしい。数日後、またしても屋敷の中に物の怪が出現。襲われそうになった真珠は、思わず瑠璃丸の名を呼んでしまう…。  魔のにおいを消すためには、それよりも強いもののにおいをつければいい。魔だろうが怪しだろうが俺が守ってやる——瑠璃丸のその言葉に、后候補のはずだった真珠は、瑠璃丸と結婚しようと決める。瑠璃丸は真珠の側にいるために、人間として生きることを選ぶが…!?  白銀色の髪を持つ美しい鬼と魔に狙われた姫君の、平安恋物語!

後宮で複雑に絡み合う恋を描いた平安恋草紙

 同じ屋敷に暮らす妹に婚約者を奪われてしまった淑子。公卿である父親が勝手に決めた相手だったとはいえ、妹は恋の勝者と勝ち誇り、女房たちは腫れ物に触るような態度をとってくる。厄介な状況に疲れ果てた淑子は、家を出て、典侍として後宮で働こうと決めた。  そして月日がたち——生真面目な淑子は、愛嬌がなくて刺々しい『柊の典侍』だと煙たがられながらも、いまや後宮を仕切る立派な典侍に成長。女同士の争いが日常茶飯事な後宮で、揉め事解決になくてはならない存在になっていた。  ある日、典侍として仕事上のやりとりが多い五位の蔵人に、二人の新任者がやってくる。そのうちの一人が妹の夫となった元婚約者だと知り、憂鬱になる淑子。彼と顔を合わせないようにと願いながら、蔵人所に向かった淑子は、もう一人の新しい蔵人、源誠明と対面する。誠明は、東宮の嫡子でありながら臣籍降下した人物。宮中では難しい立場の誠明だが、なぜか淑子のことをよく知っている様子。そのうえ、誠明は唐突な言葉を淑子に告げた。私と、結婚してください——。  後宮を舞台に複雑に絡みあう恋を描く、深山くのえの平安恋草紙!

運命の人はかつての許婚?平安後宮ロマン!

 大納言だった父と母を続けて亡くし、他人に騙されて家の財産も失ってしまった沙羅。親が決めていた縁談もあっさりとなかったことにされ路頭に迷いかけた沙羅だったが、入内した従姉妹の女房として内裏に入り、今は幸せだった頃をときおり思い出しながら、梅壺で静かな日々を過ごしている。  そんなある日の夜。主が飼う猫の散歩につきあい、月明かりの中で一人ぼんやりと庭をながめていた沙羅の前に、宿直装束姿の男が現れる。親しげな様子で話しかけてくるその男は、右近少将藤原朝蔭と名乗った。その名を聞いて衝撃を受ける沙羅。それは忘れたくても忘れられなかった、かつての許婚(いいなずけ)の名前だった——。  運命に翻弄され、裏切られ、過去の悲しみの中ですべてを諦めるかのように生きてきた沙羅だったが、強引なほど沙羅との距離を詰めようとする朝蔭の態度に、いまさらと思いながらも、ゆっくりと心を開きはじめる。だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を、沙羅は耳にしてしまい……。  運命の恋を描く、平安後宮ロマン!

小学館文庫シリーズ