新作『冬に子供が生まれる』誕生前夜の肉声
「佐藤正午って、なんて丁寧に、丹精こめた仕事をする小説家なんだろう。来る日も来る日もこつこつこつこつ推敲に推敲をかさねて、じわりじわりと一日に三分の一頁ずつ小説を書き進めていくのか。な…
親戚のおじさんみたいに呼ばれる作家の素顔
「地元佐世保の書店員さんといっても、よく知らないひとたちなんだよ、交流なんてぜんぜんないし、名前だってわからない、道ですれ違っても顔もおぼえていないんだよ。そういうひとたちがさ、同じ街…
「作家」の肩書きに憧れる作家が直木賞受賞
「自分のペンネームがほかの作家の名前と一緒に並んでる、それだけで晴れがましい気持ちになるとか、言っても信じないだろうけど、それは嘘じゃなくて、なぜそういう気持ちになるのか、なぜ自分がそ…
多くの作家をも魅了した著者の最高到達点!
直木賞受賞後の会見で、著者は「勝手な想像ですが」と前置きした上で、 「『鳩の撃退法』の存在がなければ、今回の直木賞受賞は考えられない。あれで機運が熟したのではないか」 と語った。 …
小説名人による名作中の名作ついに文庫化!
夢枕獏さん、京極夏彦さん、奥泉光さん、筒井康隆さんら選考委員から圧倒的な評価を受けた、第6回山田風太郎賞受賞作! 山田風太郎賞の受賞からおよそ2年後、著者は『月の満ち欠け』で第1…
みずみずしい感性が光る永遠の恋愛小説集
「ひとつ例にとると、『傘を探す』という作品。僕はこの、失われた雨傘を探して夜の街を、人から人へとめぐり歩くストーリーをいまでも面白いと思います。 もし若い佐藤正午がこれを書いてい…
僕はお金欲しさに小説書いてるんじゃない!
「作家はいざパソコンを前にキーボードを打ちはじめると──いったん物を書く現場の時間の流れに入ってしまうと──原稿料のことなど忘れてしまいます。自分が書いている原稿を、より良いもの、より…
小説界のカリスマ、不朽不滅のデビュー作!
どんな小説家にも、一つだけ、アマチュアとして書いた小説がある。 ないと始まらない。 その小説が人目に触れ、本になるとデビュー作と呼ばれ、書いた人は小説家と呼ばれるようになる。——「…
衝撃の結末が加わった傑作長編小説の完全版
15年前、ある地方都市のマンションで男が撲殺される事件が起こった。凶器は金属バット。死体の第一発見者は被害者の隣人で、いまも地方検察庁に検察事務官として勤める古堀徹だった。事件は未解決…
長編小説『鳩の撃退法』創作現場からの肉声
「いったん書いたものを読み直して考え直す、考え直して書き直す、また読み直して考え直す、でも正解にはたどり着けない、でもそれをやらないことには先へ進めない、そういう厄介な手間に耐える勇気…
小説巧者に訊く前代未聞のインタビュー読本
「これは、直接会って言葉をやりとりするのではなくて、メールを用いたインタビューです。いっぱんの対面式のインタビューを『喋るインタビュー』だとすると、今回やろうとしているのは『書くインタ…
男と女の噂の真相を、小説に仕立てた作品集
その街ではいくつもの噂話がささやかれている。 結婚から五年が経ち、すっかり冷えきった仲になった夫婦の噂(「好色」)。酒と博打と女が原因で街から夜逃げした若い男の噂(「カップル」)。不…
競輪場を舞台に綴る切ない6つの人間ドラマ
「ねえ聞いてるの? 自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」とマリは婚約者の青年をたしなめる。JRの勤勉な駅員として働く彼の、唯一の趣味…
7つの物語が精妙巧緻にリンクする連作短編
今年四十歳になるタクシーの運転手、武上英夫は妻に言えない秘密を三つ持っていた。五年前、放火事件が起こった冬の夜にタクシーに乗せた女との経緯もその一つだった。彼に内緒で定額貯金を積み立て…
僕は若い頃から本を読み、文章を書き、そのかたわら競輪とつきあってきた。だからできることは次の二つしかない。一つ、競輪場へ行き、競輪をやること。二つ、机に向かって文章を書くこと——文壇屈…