小学館文庫

ヒロシマ・ボーイ
著/平原直美訳/芹澤恵発売日:2021-08-06

日系米国人作家によるエドガー賞候補作!

  米国で生まれ広島で育ち、戦後帰米した日系二世、元庭師の老人マス・アライ。マスと同じく原爆体験を持つ帰米二世の親友・ハルオが亡くなり、広島の沖合にある小島に暮らす遺族に遺灰を届けるため、マスは50年ぶりに日本を訪れた。そこで彼は、少年が犠牲になる痛ましい事件に遭遇する。小さな島を訪れた異邦人でしかないマスだが、広島で経験した少年期の傷痕を思い出し、14歳で命を落とした少年のために謎を追う。 日系米国人作家が父親をモデルに、15年間にわたって描き続けた「庭師マス・アライ」シリーズ第7作。このシリーズ最終作では、父親の故郷・広島の現代の情景を鮮やかに活写し、さらに複雑なアイデンティティを持つ主人公の頑固爺の内面を見事に描いて2019年エドガー賞最優秀賞(ペーパーバック・オリジナル部門)最終候補作となった。日本のメディアでも話題となった傑作ミステリが、満を持して登場。

左京区シリーズ最高傑作、待望の文庫化!

 〈女子読み恋愛小説第1位〉の『左京区七夕通東入ル』、第2作『左京区恋月橋渡ル』につづく、「左京区」シリーズ最新作にして、幸福度200%の最高傑作が、ついに文庫化!会いたいひとは、幼いころに遊んだ“お兄ちゃん"――。父親の仕事の都合で引っ越してばかりだった上原璃子は、4歳の時、奈良で安藤果菜と出会う。二人はすぐに仲良しになって、青果店を営む果菜の家で毎日のように遊んだ。それに時々つき合ってくれたのが、果菜の3歳年上の兄・実だった。やがて上原家は奈良から埼玉へ引っ越し、璃子と果菜は離ればなれになるが、高校進学のタイミングで家族は大阪に移り、二人は久しぶりに再会する。その頃“お兄ちゃん"は大学に進学し、京都の学生寮で暮らしていた。璃子はそれから“お兄ちゃん"のいる大学に進学。キャンパスで“お兄ちゃん"が紹介してくれた仲間は、どれも不器用でどこかクセのある理系男子ばかりだった。4回生になった“お兄ちゃん"は大学院進学をひかえて研究に追われていたが、ある秋晴れの日、璃子と“お兄ちゃん"にとって人生を左右する事件が大学で起きる・・・・・・。璃子が長年こころに秘めてきた恋の行方は? シリーズ最大規模の恋の嵐が「左京区」に吹き荒れる!読後、きっとあたたかい風に包まれます。

食と酒 吉村昭の流儀
著/谷口桂子発売日:2021-08-06

人気作家・吉村昭に迫る書き下ろし文庫。

 没後15年を経て、いまだに広く愛読されている国民的作家、吉村昭。膨大な史料の博捜と綿密な取材で、日本人の知られざる歴史と庶民の生活を描いた作家の唯一の楽しみは、「食べること、呑むこと」だった。吉村昭と、夫人で芥川賞作家の津村節子の生活の細部を、二人が書いた随筆、小説、対談などから紐解いて、吉村昭が愛した日本の食と酒、そして取材旅行で訪れたさまざまな町の味を紹介する。吉村文学の原点である戦争体験と療養生活、夫婦で北海道をさすらった不遇時代の記憶などが、吉村昭の「食と酒」への執着とどう関わっていたのか。下町に生まれ、人との関わりを何よりも大切にした吉村昭にとっての「いい旅、いい味」とは何だったのか。夫婦ともに多忙な作家だった吉村家の毎日の献立は? 吉村昭の食と酒、そして旅を通じて浮かび上がる夫婦の絆と愛情を、作家・谷口桂子があますところなく記す、完全書き下ろし文庫。巻末解説は吉村昭と交友があった直木賞作家、出久根達郎氏。

サカナとヤクザ
著/鈴木智彦発売日:2021-08-06

食べてるあなたも共犯者!決死の潜入ルポ

  アワビ、ウナギ、ウニ、ウニ、サケ、ナマコ……・「高級魚(サカナ)を食べると暴力団(ヤクザ)が儲かる」という食品業界最大のタブーを暴く。 築地市場から密漁団まで5年に及ぶ潜入ルポは刊行時、大きな反響を呼んだが、このたび文庫化にあたって「サカナとヤクザ」の歴史と現状を追加取材。密漁と取り締まりの過激な攻防戦を描く新章「“魚河岸の守護神"佃政の数奇な人生」「密漁社会のマラドーナは生きていた」を書き下ろした。 推薦文は『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の漫画家・真鍋昌平氏、文庫解説は『モテキ』『バクマン』の映画監督・大根仁氏。 本作はノンフィクションのジャンルを超え、日本のエンタメ最前線を走る人たちから絶賛されている。真鍋昌平(漫画家)「人の欲望は止まらない。ルールがあれば反則勝ちした犯罪者がぼろ儲け。知らないうちに自分自身が密漁者の共犯者。高級寿司の時価の舞台裏を犯罪集団に笑顔に拳は当たらない処世術で5年間も潜入取材して伝えてくれた勇気に泣けてくる」

“鬼"上司と不思議な宿に逃避行!?

  邪気の高まりによって恐ろしい鬼と化してしまった長谷川係長。千年前の記憶と現在の気持ちの間で揺れていた遥香だったが、自分自身の本当の想いに気づいたことで事態はなんとか落ち着き、ふたりは正式にお付き合いすることとなった。 だが問題は、陰陽師である自分の両親や親族に、長谷川係長の正体を明かせないこと! 悩ましい状況が続く中、ある日、遥香のもとに母親の式神ハムスターがやってくる。小さな彼が抱えてきたのは、なんと、お見合い写真。父親の企みで、遥香のお見合い話が進行しているというのだ。 お見合いを阻止するため、長谷川係長は遥香の両親と直接会って話をしようと提案。しかし、その対面が大騒動に発展してしまう! 逃げ出した遥香たちは、なぜか不思議な宿に迷い込むことになって……。 長谷川係長のジェラシーが炸裂! ふたりの恋に障害発生!? 兼業陰陽師と、ホンモノ“鬼"上司の物語、大人気シリーズ第5弾登場! 

さよなら、ムッシュ
著/片岡翔発売日:2021-08-06

20年間しゃべり続けるコアラのぬいぐるみ

  小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころ他界した作家で母の文子が残してくれたコアラのぬいぐるみを大事にしていた。 ムッシュ、と名付けけられたそのぬいぐるみは、母が亡くなったその日、なんと突然しゃべりだし、以来、無二の親友になっていた(もちろん、世間には内緒のままにして)。 そんなある日、しゃっくりがとまらなくなった星太朗は、自分が母と同じ死に至る病に罹っていることを知ってしまう。ムッシュは、星太朗に思いがけないある提案をした。 温かな思いや名付けようのない思いに満たされる感動作。

置き去りのふたり
著/砂川雨路発売日:2021-08-06

大好きだった彼が死んだ――心中だった

 みちかと太一が大学で出会った空人は、明るく誰からも好かれる人気者だった。二人は空人に密かに恋心を抱いていた。しかし、卒業から一年後。空人が死んだ。心中だった。さらに空人の胃からは心中相手の小指が発見され、事件はマスコミにも大きく取り上げられた。空人の死がセンセーショナルに伝えられる一方、空人に想いをよせていた太一とみちかは、あまりに現実感のない事態を前にし、彼の死を受け入れられず葬儀でも涙一つ流せないでいた。ところが、そんな二人のもとに一通の手紙が届いたことで状況は一変する。手紙には空人の字で「俺はふたりをいつまでも恨んでいるよ」と書かれていて――。最愛の人の突然すぎる死と、悲しすぎるメッセージ。彼はなぜ、死を選んだのか。置き去りにされた二人が巡る、喪失と再生の物語。

128万部突破ベストセラーが待望の文庫化

 2017年「年間ベストセラー総合第1位」(日販・トーハン調べ)のエッセイ集が待望の文庫化。新たに本書が売れに売れた後の「怒濤狂瀾の日々」を綴ったエッセイや、旭日小綬章を受章した際の爆笑記者会見の模様、畏友・瀬戸内寂聴さんの解説を収録しています。 小学生からお年寄りまで世代を超えてゲラゲラ笑いころげる面白さで、各界の著名人も笑って泣いて大絶賛!◎安藤優子さん「とにかく痛快でした。言いたいこと言って、縦横無尽に切りまくる。でも不思議なくらい温かい」◎瀬戸内寂聴さん「彼女の表現にはユーモアがあって、笑わせますよね。全28編、それぞれ必ず1回か2回は、思わずゲラゲラ笑ってしまいました」◎辻村深月さん「読み終えて本を閉じ、思わずにはいられなかった。九十歳、それでもやっぱりおめでたい、と」◎又吉直樹さん「本を読んで、久しぶりに笑いました!」2018年に亡くなった落語家・桂歌丸さんは「この本は年寄りの教科書。佐藤さんの“角張った生き様"は老い先短い自分がどこに向かうか考える上で、とても参考になりました」と仰っていました。

初手柄 かぎ縄おりん
著/金子成人発売日:2021-08-06

かぎ縄を武器に、おんな目明かし大活躍!

  父、嘉平治の跡を継ぎ目明かしとなったおりん。『駕籠清』の番頭で祖母のお粂は孫娘に店を継がせようとするが、おりんは股引に着物を端折った鯔背な装りで町を飛び回っている。 ある日、叔父で売れない絵師の太郎兵衛がやってきた。書画会を開くと嬉しそうに言う。しかしおりんが訪ねるとそこには誰もいない。太郎兵衛は絵も金も騙し取られ、行方をくらましてしまう。(第一話「初手柄」)。 駕籠舁き人足が斬られた事件。残された駕籠には『駕籠清』の焼印が。男たちは『駕籠清』の空き駕籠を借りて商売していた(第二話「幽霊坂の女」)。 浜松町の親分を訪ねた嘉平治とおりん。消息を絶って一年になる『香霖堂』の当主を捜してほしいと頼まれる。話を聞きにいくと、怪しげな拝み屋が現れて……(第三話「化けの皮」)。 突如おりんの前に現れた、幼馴染みの参次。十年前、他所へ移り住んだが、すぐに家を出てしまった。そこで、行方知れずとなった妹を捜してほしいという。だが、おりんはその腕に入墨が入っているのを見てしまった。十手持ちとして手を貸すことに悩むおりんだが、捜索に乗り出す(第四話「幼馴染み」)。

最強姫君・玲琳、またもや事件の容疑者に!

  大国・斎から新興の魁国王・楊鍠牙のもとに嫁いで早八年。変わり者の《蟲愛づる姫君》こと斎の第十七皇女・李玲琳は二十三歳になっていた。双子の皇子と皇女にも恵まれ、夫婦もとりあえずは円満……という日々だ。 そんな中、臣下である雷真の母親・夏泉から、蠱師としての玲琳に会いたいとの申し入れがあった。興味をおぼえて雷真の故郷へ向かった玲琳は、夏泉から「息子に惚れ薬を飲ませてほしい」と頼まれる。どうやらこの母親は、許嫁に近づかない息子に業を煮やして、玲琳に強引に呪って欲しいらしいのだ。しかし、雷真の許嫁の珠理は、お世辞にも素行がいいとは言えない娘だった。 何人もの男と付き合いながら、結婚だけは絶対に雷真とするのだと言い切る珠理と、それを全力で拒否する雷真。もとより色恋沙汰は苦手な玲琳は、この複雑な関係の従兄妹たちの間に挟まれ、身動きがとれなくなる。 そうこうするうちに夏泉が急死する。どうやら毒による死亡ということもあり、その現場に居合わせていた玲琳が真っ先に疑われてしまう。果たして玲琳は自分にかけられた嫌疑を晴らすことができるのか……? 大人気《むしめづ》シリーズ、ついに新章第2弾!!

不祥事警官の名簿流出! 被疑者=主人公?

 阿久津慎と三雲みひろ。ふたりは、変わらず不祥事警察官を赤文字リストに載せるべきかを内偵する部署「職場環境改善推進室」で働いている。一方、かつて阿久津の捜査に利用された宗教団体内部では、後継者争いが勃発。阿久津へ復讐すべきとする勢力が台頭してきた。動きを察知した阿久津は、内偵者を使い、団体の崩壊を画策する。後継者選挙を間近に控えたある夜、かつて因縁のあった警察官から呼び出された阿久津の前に、団体の信者の遺体が! 被疑者となった阿久津。上司の無実を信じるみひろは、単身宗教団体へ乗り込んでいく! 警察組織を揺さぶる頭脳戦の行方は!?発売即重版の新・警察小説、待望の続編!!

徳川将軍三代の今、武は百害あって一利なし

 女中にして見張り役でもある伊賀女忍の佐夜を傍に、柳生藩勘定方の淡海一夜は、愚痴りながら算盤を弾いていた。旗本から大名となった柳生家慶事のお披露目に、老中や惣目付ら、お歴々を招かねばならぬのだ。万に一つでも、手抜かりがあれば、取り返しのつかない事態に陥ってしまう宴席に、柳生を好ましく思わない客が必ずやって来る。彼らの嫌がらせに対抗すべく、一夜は知略と人脈を駆使し、防備を固めはじめた。一方、柳生家改易を企み、一夜を取り込まんとしたが、失敗に終わった惣目付の秋山修理亮は、「ある噂」を耳にして、再び甲賀組与力組頭の望月土佐を呼び出した。さらに柳生の郷では、三代徳川将軍家光が寵愛する柳生左門友矩に、老中・堀田加賀守が送り込んだ忍の魔手が迫る!一夜の奇策は功を奏すのか? 危機一髪の第四弾!

偶然屋 2
著/七尾与史発売日:2021-08-06

その強さには偶然ではない理由があった

 偶然を演出するプロがいる――。そんな都市伝説を聞いたことはないだろうか?JR錦糸町駅から徒歩数分、古びた雑居ビルの中にある「オフィス油炭」。表向きは探偵事務所だが、ここに持ち込まれる相談は少し変わっている。この日の依頼は「出会いの演出」。それも人気映画と全く同じシチュエーションで“たまたま"二人がすれ違うというのがクライアントからの要望だ。アクシデントディレクターの水氷里美は、社長である油炭の指示のもと、かわいいけれど超強い女子中学生・クロエとともに難易度の高いミッションに挑む。一方、クロエは日本中の優秀な子どもたちを集めて行なうという政府プロジェクトのメンバーに選ばれる。しかし、プロジェクトの裏には偶然屋にとって因縁の相手である“仏"の影が見え隠れして……。悪魔のような男の手により、またしても惨劇は起こってしまうのか!?大人気ミステリー、待望の続編!! 

オッドタクシー
著/涌井学発売日:2021-07-06

超話題のアニメーション、完全ノベライズ!

  平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。少し偏屈で無口な変わり者の彼が友人と呼べるのは、かかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生・柿花ぐらいだ。小戸川が乗せるのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス。車内で交わされる何でも無いはずの会話が、やがて1人の少女へと繋がっていく──。 主演に花江夏樹を迎えた超話題のアニメーション「オッドタクシー」。人気漫画家・此元和津也が書き下ろした脚本をもとに完全ノベライズ!巻頭カラーで人物相関図と名場面も収録。唯一無二の不思議な世界を、小説でもお楽しみください。

異国の美青年が語る〈帝都妖霊物語〉

  帝都・京橋区にある滝澤旅館の主人は、無口で無愛想な男、和恭。彼が時折、宿の中庭を眺めながら縁側でともに茶を飲むのは、しばらく前からこの宿に滞在している異国の青年サレハだ。 サレハは一年ほど前、遥か遠い砂漠の国から、主命により故郷の品を商うために帝都にやってきた。今は銀座の勧工場を借りて店を開き、故国の華麗な絨毯や優美な道具に囲まれて商売をしている。まるで人形のような美貌を持つサレハだが、意外にも人懐っこく話好きで、時間があれば故郷の風物や闇に沈む者たちの話を和恭に語って聞かせ、和恭も熱心に耳を傾けるのだった。 そんなふたりの周囲で、奇妙な出来事がたびたび起こり人々の心を惑わせる。人を若返らせる水差し、夜店の向こうにあるバザール、香りが消えた金木犀――山伏姿の警視総監・虚空に依頼され、サレハと和恭は、この地にやってきた異国の妖霊たちが関わっているらしき不思議な事件の謎を探ることに……。  人ならざるものを見る青年が帝都で語る、妖霊(ジン)たちの物語。

龍の後宮
著/宮池貴巳発売日:2021-07-06

陰謀渦巻く後宮に、突然放り込まれて!?

  上帝・黄龍王のもと、東西南北をそれぞれ青・白・紅・黒の各龍王が統べる大瓏帝国に、十年に一度の『選秀女』の季節がやってきた。これは各龍王家の当主がそれぞれひとりずつ、自分の家からこれぞと思う才色兼備の姫君を上帝陛下の後宮へ上がらせ、妃の座を競わせるという大切な儀式なのだった。 うまくいけば超玉の輿のチャンスとなるこの『選秀女』だが、三流の家の姫を自認する朱瑛には、本来まったく縁のない話のはずだった。……そう、選ばれし者の証である《龍玉》を握って生まれた朱瑛を、紅龍王が養女に迎えて、上帝陛下の後宮へ投入するまでは。 そもそもこの朱瑛、美しさや女性らしさで上帝の寵を競うお妃候補には、まるで向いていない人材なのだ。不老不死の妙薬――仙丹を作るという煉丹術に執念を燃やし、危険で妖しげな研究に日夜耽溺する変わり者で、実の兄すらドン引きするほど雑な性格の持ち主なのだから。 しかし大方の予想に反して、上帝・棣棠の覚えがめでたくなってしまった朱瑛は、否応もなく大きな運命の渦に巻き込まれていく。果たして朱瑛が直面する《龍の後宮》の秘密とは……? 痛快☆中華風ファンタジー!

死にたい、ですか
著/村上しいこ発売日:2021-07-06

自死遺族の苦悩と葛藤をリアルに描く衝撃作

  人見由愛の兄・典洋が高校でのいじめに耐えられず、自ら命を絶ってから4年後の家族の物語。由愛は高校3年。兄の心の声に気づけなかった自分を責めながらも、親友の三葉に救われながら前向きに生きている。母親の伊代は今も息子の死を受け入れられず、無念をはらそうと裁判を起こす。家庭も仕事もうまくいかない父親はアルコールに依存。家族は崩壊寸前だった。 一方、伊代からの依頼で典洋の裁判を取材することになった新聞記者・大同要もまた、自身のトラウマと葛藤し、カウンセリングに通う日々。記者として裁判を傍聴するうち、次第に人見一家に深入りしていく。そして由愛のまっすぐな生き方に、要のかたくなな心も動き始める。 裁判では、典洋をいじめた首謀者の同級生、当時の担任、顧問、かつては典洋の親友でもあった由愛の初恋相手の翔が、証言台に立っていく。誰一人いじめを認めないまま淡々と続く裁判。このままでは何一つ変わらない、私たち家族が沈んでいくだけ、と悟った由愛は、ある重大な決意をするが……。 文庫化にあたり、お笑いタレントの白鳥久美子氏が巻末解説を特別寄稿。いじめを経験したからこその視点で物語を読み解く。

伊予灘の絶景で死の直前に父が見たものとは

 一人暮らしの老人が失踪、その後遺体で発見された。死の謎を解こうと父の足跡を追い始めた息子小菅明。十津川警部は小菅ととも捜査を進めていくが、生前に老人がカメラで撮影していた対象が事件のキーポイントであることに気がつく。しかし思いもよらぬ人物が執拗に捜査を妨害してきた……。定年を前に退職し、以来疎遠になっていた父・小菅信一郎が失踪したとの連絡が息子明の元に入った。行方不明者届を出した二日後、父は自宅マンションで遺体となって発見された。死因は溺死で殺人の可能性が高いという。その後信一郎を訪ねてきた若い女性・平川綾乃の話から、父が瀬戸内海を望む、愛媛の下灘駅に滞在していたことが分かった。なぜ四国の無人駅に行ったのか、事件の鍵を探すべく明も下灘駅に向かう。そこで、父が死の前に「海の宝石」と呼ばれるものを撮影していたことを知る。事件を追う十津川警部は信一郎が最後にカメラで撮影した対象を割り出す。そして興信所所長の坪内正明という男が事件に関わっていることに気づく。坪内をマークし捜査を続けるなか、突然坪内への捜査中止命令が下る。一体彼は何者なのか――襲い掛かる黒い策謀に、十津川が敢然と立ち向かう!

少女たちは何を怖れ、何を隠したのか?

 東京都武蔵野市、吉祥寺駅付近で、二十歳前後と見られる女性の殺人遺体が発見された。警視庁殺人犯捜査第五係の辻岡朋泰警部補ら捜査員は身元調査に奔走するも、思うに任せず、焦燥に駆られる。が、ついに大学二年生の小池聡美と判明。娘と連絡が取れず、心配していた母親が偶然報道を見て、捜査本部に問い合わせてきたのだ。色めき立つ捜査本部だったが、以後も捜査は難航し、辻岡らは苦悩する。悪戦苦闘の末、ようやくフリージャーナリストの佐藤公章が容疑者として浮かび上がってきた。被害者の故郷である岐阜県で六年前に起こった、有名な冤罪事件と、その発端となった女子中学生殺人事件に関係していたらしいのだ。思いも寄らぬ方向に捜査の目を向けざるをえなくなった辻岡ら捜査陣に、新たな壁が立ち塞がる。序盤から結末まで息詰まる、警察本格ミステリー。

詩の面白さを存分に味わえるコラボ詩集

  「男のひとは 愛に疲れやすいので 愛に倦まない女たちは 自作自演で愛に溢れる」(江國香織) 「女のひとは 愛をむさぼり生きるので 愛を産めない男たちは 夢を耕して愛を補う」(森雪之丞)1年12か月をテーマにそれぞれが書いた詩、江國香織が書いた詩を受けて、森雪之丞が書いた連詩、絵画作品をモチーフにそれぞれが書いた詩の3部構成。ニューヨークと東京で語り合う往復書簡も収載。手元にいつも置いておきたい、心がふっと軽くなる珠玉の詩集。

小学館文庫シリーズ