小学館文庫

珠宝の紀行エッセイ集シリーズ第3弾文庫化

 読んで、旅する。 会員制会報誌「シグネチャー」に連載されたエッセイ「旅先でこころに残った言葉」と連載中の「旅と言葉」からセレクトした人気シリーズ「旅だから出逢えた言葉」シリーズ第3弾の文庫化。スペイン、アメリカ、フランス、イタリア、日本と世界中を旅し続けてきた伊集院静氏が各地で出逢った市井の人々、画家、作家、スポーツ選手をはじめ、書籍、名画などから、ふと心に響いた「ひと言」をテーマに綴ったエッセイ集。「年の始めは、ともかくゆっくりスイングすることだ」(ボビー・ジョーンズ)「女性が立ち上がった戦いは真の戦いになるものよ」(コルシカ島のホテルの女主人)「見つゝ行け 旅に病むとも 秋の不二」(夏目漱石)「六月を奇麗な風の吹くことよ」(正岡子規)「モネは眼の人である。あの眼こそモネのすべてである」(ポール・セザンヌ)(本文より)

第六天魔王・信長の首、頂戴つかまつる!

  元亀元年(一五七〇)六月二十八日(新暦七月三十日)、浅井・朝倉勢と織田・徳川勢が激突した姉川の合戦が、弓の名人・与一郎の初陣だった。父・遠藤喜右衛門が壮絶な戦死をしてから三年、家督を継いだ与一郎と、郎党の大男・武原弁造は、主君・浅井長政率いる四百の兵とともに巨大な山城・小谷城の小丸に籠っていた。まさに風前の灯だった。長政には、信長の妹で正室の於市との間に、五歳の長女・茶々以下三人の女子があり、於市ら四人を織田方に投降させるという。だが、十歳の万福丸と乳飲み子の万寿丸は、信長とは血の繋がりがない。信長は決して男児を許すまい。万福丸を連れて落ち延びよ。主命とはいえ、浅井家が果てようという時に、自分一人生き残るなど、与一郎には、及びもつかない。だが、死にゆく主人から嫡男を託されて、古風も美意識も矜持も吹き飛んだ。浅井家再興がなるまで守り抜く。与五郎と改名させた万福丸を弟に仕立てて、小谷城脱出を決行する与一郎。供は、元山賊の頭目・武原弁造ただ一人。天正元年(一五七三)旧暦八月二十八日未明、三人は敦賀を目指して出立した。

NEW
しょったれ半蔵
著/谷津矢車 発売日:2022-12-06

大河でも注目!本当は武士になりたかった男

 かの有名な忍び、服部半蔵。その二代目は武士だった?戦国時代に名を馳せた伊賀忍者、服部半蔵保長。その長男・正成は、家を継ぐべく育てられた。しかし忍びの仕事は闇に紛れ命を奪う影の仕事。七歳のある日、初めての任務が下されたが、そのあまりの理不尽さに悩んだ正成は、思わず家を飛び出してしまう。影に生きる忍びではなく、太陽の下、正々堂々と戦う武士になると心に決めて。時は流れ、渡辺守綱の家で修行を積んだ正成は上ノ郷城で初陣を迎えた。戦場には密命を帯びた父・保長もいた。しかし直後、謎の忍び・梟に父を殺され、さらには正成も命を狙われる羽目に。変わらず忍びを厭う正成だったが、保長を失った服部家を継ぐよう主君・松平元康に命じられてしまう。武士としては、主からの命令に逆らえるはずもなく、不本意ながらもここに二代目・服部半蔵が誕生したのだった。しょったれとは、三河地方で「半端者」の意。武士にも忍びにもなりきれない半蔵は、それでも人と縁を繋ぎ、もがきながら死地を駆け抜ける。2023年大河ドラマでも注目のキャラクターが多数登場。気鋭の歴史時代小説作家による、忍びエンタメの最高峰、待望の文庫化!

写真をアートにした石原悦郎の生涯の文庫化

 1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォト・サロンの創始者、石原悦郎の生涯を追うことで、日本写真史を立体的に描いた単行本の待望の文庫化。石原が写真画廊を始めた頃は写真が未だ雑誌の為の印刷原稿の域にとどまり、オリジナル・プリントに対して、芸術的な価値はまったく認められていなかった。彼はいかにして、今日のように写真家がアーティストとして活動し、写真が芸術作品として社会に認められるような状況を作り出したのであろうか。そのことは表舞台にいる写真家だけを見ていては知り得ないことである。石原がフランスで世界的巨匠であるアンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイらと交流し、その経験を国内作家にも伝えながら、独自に「アートとしての写真」を広めようとした活動は、結果的に植田正治を世界に発信し、荒木経惟、森山大道といった世界的写真家の輩出という大きな果実をもたらす。写真がアートになるために必要なことを総合的にプロデュースした、いわば日本写真史の影の立役者が石原悦郎という人物である。石原の眼を追体験できる本書は、日本写真史への理解を深める一冊となる。

写真家畠山直哉が真摯に語る写真とは何か

 石灰石鉱山の写真集『LIME(ライム) WORKS(ワークス)』で一躍注目を浴び、いまや日本のみならず世界的に活躍する写真家・畠山直哉。石灰工場、石灰石鉱山の発破の瞬間、都市のビル群などのたぐいまれに美しいプリントで多くのファンを獲得している。撮影対象の面白さと写真の美しさで話題になることの多い畠山だが、いっぽうで「ことばを発する写真家」としても知られている。 本書は、畠山のことばの中から、講演・講義といった、「話された写真」についてのものを集めて、一冊にまとめた著書の待望の文庫化であるる。畠山の〈見ること、認識すること、考えること〉から紡ぎ出された写真についてのことばの中から、さらに、聞き手に伝え、理解を促すことを念頭に考えられた「話し言葉としての写真論」を並べてみると、思考と認識の手段として写真を選んだ、日本にこれまでにあまりいなかった「考える写真家・畠山直哉」が浮かび上がってくる。「写真とは何か」ということを絶えず問い続ける真摯なひとりの写真家の姿である。スマホの普及も相まって、大きく概念を変えつつある写真について、もういちどきちんと考えるきっかけとなる一冊である。

NEW
飲むぞ今夜も、東京で
著/太田和彦 発売日:2022-12-06

広い東京を歩いて、辿り着いた良い居酒屋。

 東京は実に広く、名店といわれる居酒屋も数多くある。今日は、ぽつんと一つ赤提灯がともる町外れの居酒屋にしようか、地元に根付いた老舗の酒場にしようか…?いずれにせよ、長くその町に在る、言わば町の顔とされる居酒屋は「良い居酒屋」だ。もちろん、新しいがすでに老舗然と構える「良い居酒屋」もある。全国の居酒屋を訪ね歩き、居酒屋を「文化」に押し上げた第一人者の太田和彦氏が、東京の居酒屋に練りに練って、絞って絞って選り抜いた「良い居酒屋」数十件!!良い酒と良い肴で、じんわりと「良い居酒屋」にいる喜びを、この本で味わおう。

日本国民は大英帝国との同盟に狂喜乱舞した

  歴史ノンフィクションの金字塔『逆説の日本史』。文庫最新刊となる第25巻では、まず西洋近代化の流れのなかで進んだ文学、国語、唱歌に関する「文化大改革」について幅広く考察する。初代文部大臣・森有礼が推し進めた「日本語を廃止し、英語を国語化する」という驚くべきアイデアはなぜ生まれ、そして闇に葬られたのか? また、明治政府が「唱歌」に込めた、隠された意図とは何だったのか? 続いて、明治になって急速に進んだ演劇と芸術の変革についての分析。とくに、川上音二郎が実践者となった「演劇改良運動」、そして彼の妻「マダム貞奴」に代表される女優の復活について焦点を当てながら論考を進めてゆく。 さらに、誇り高き大英帝国が「栄光ある孤立」を捨てて極東の小国・日本と同盟を結んだ「真意」とその影響について検討。この時期ヨーロッパを席巻した「黄禍論」についての解説を加えながら、明治政府が「日露開戦やむなし」に傾いていったプロセスを解き明かす。

水商売の専門高校、廃校の危機!?

 日本初の水商売を専門に学ぶ都立高校が新宿歌舞伎町に設立されてから二十八年。夜の街は、コロナ禍による営業自粛で閑古鳥が鳴いていた。都立水商でも、伝統ある入学を祝う会が早々に中止になり、神奈川の高校との交流戦もとりやめられた。そんな中、週刊誌に、水商の存在に疑問符を投げかける記事が掲載され、ニュースとなる。全校に動揺が広がる中、生徒会は文化祭を盛り上げようと、あらゆる手を画策する。さらには、メジャーリーガーを親に持つ徳永英雄率いるバスケット部が、都大会で快進撃を続けるのだった。

鬼教官・風間公親、殺人現場に再臨場!

 ●第1話 硝薬の裁き益野紳佑の妻才佳は、半年前、車にはねられ亡くなった。事故の唯一の目撃者は娘の麗馨だった。警察は幼い麗馨の証言を採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。●第2話 妄信の果て大学四年生の戸森研策は、地元新聞社から内定を得た。ゼミ論文の単位が取得できれば卒業も確定する。前途洋々の戸森のもとへ、担当教授から突然の連絡が入る。●第3話 橋上の残影経理事務の仕事をしている篠木瑤子は、十年前に恋人を自死により失っている。その死の原因となった男は刑期を終え、娑婆でのうのうと暮らしていた。●第4話 孤独の胞衣短大生の萱場千寿留は工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した。浦真は中絶費用を渡し、海外に旅立ったが、千寿留は新しい生命の誕生を待ちわびていた。●第5話 闇中の白霧名越研弥は、闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗いたいのだが、相棒の小田島澄葉を説得できずにいた。●第6話 仏罰の報い著名な有機化学者である清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、一線を退いた。隠棲生活を送る清家の悩みの種は、娘・紗季の夫の素行だった。

NEW
軋み
著/エヴァ・ビョルク・アイイスドッティル 訳/吉田薫 発売日:2022-12-06

CWAニュー・ブラッド・ダガー賞受賞作!

 同居していた恋人との関係が唐突に終わり、エルマは長年勤めたレイキャヴィーク警察を辞め、故郷アークラネスに戻った。地元警察に職を得て間もなく、観光名所であるアークラネス灯台の麓の海岸で女性の不審死体が見つかる。所持品はないに等しく身元の特定が進まなかったが、数日後、妻が行方不明になったという届け出がある。死体はクヴァールフィヨルズルに住むエリーサベトというパイロットのものだった。夫によると、エリーサベトは死体となって発見される前日からカナダ便に搭乗し、三日後に帰宅する予定だった。だが航空会社に確認すると、フライトの朝エリーサベトは自ら職場に病欠の連絡をし、行方をくらましていたという。さらにエリーサベトは子どもの頃アークラネスで過ごしていたが、なぜそこへ行ったのかがどうしても腑に落ちないと言った。「妻はあの町に行くのを嫌がりました。いくら誘っても絶対に行かなかった。だから買い物に行くのはいつもレイキャヴィークかボルガルネースでした。アークラネスに行くほうがずっと便利なのに。異様なほどあの町を嫌っていた。憎んでいたといってもいい。」エルマは過去を掘り始めた。小さな港町ゆえの濃密な人間関係――時の堆積の中に深く埋もれていたエリーサベトの死の理由とは?CWAニュー・ブラッド・ダガー賞(英国推理作家協会賞新人賞)受賞! 期待の新鋭による北欧アイスランド・ミステリの新たな傑作が登場!!

小学館文庫シリーズ