角田光代

作文得意な少女は作家になる夢を追いかけた

 全三章の構成。第一章「〈希望〉を書く」――小学生時代の作文修行から作家デビュー、数度の挫折を経て直木賞受賞までを描く半生の記に始まり、「武道館で見たくらいに小さいけれど、でも見える」と…

角田ワールド全開!「記憶」をめぐる小説集

 <「さがさないで。私はあなたの記憶のなかに消えます」と言って姿を消した妻をさがす旅に出る僕>ーー(表題作)。<初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてく…

〈本〉が〈物語〉が、私たちを呼んでいる

 《新刊書店で、あるいは古本屋で、作者も作品名も聞いたことがないのに、興味を引かれる本に出合ったとする。その本は確実に私を呼んでいる。手にとってしまう。レジに持っていってしまう。帰りの電…

旅&日常を愛する角田エッセイ待望の文庫化

 ●アジアは水で、ヨーロッパは石なのだ●旅の疲れは移動の疲れと言うよりも、野生の本能を始終使っている疲れなんだろう●7月のあたまにセールなんてするなら、金輪際、5月6月に夏物なんて買わな…

本好きの作家がつづる、心躍る読書エッセー

 ひとりひとりの人生が重なり合い、関わり合っただれかの時間が縫いつなげられ、無限へ、永遠へと広がっていく。本が、物語がある世界とは、なんとすばらしいのだろう。 この本は、まるごと物語に…

小学館文庫シリーズ