片瀬由良

拾われた鬼の子は、恩ある姫の親衛隊に!?

 世界は五国に分かれていた。それぞれの国には龍神が灯したと言われる「はじまりの火」が灯されており、それを絶やさず守ることが各国の王族の努めとされている。さて、東の地にある桜春国の王族には、代々女しか生まれない。その桜春国の女王を母をもつ白妙姫は幼いある日、難民の生き残りで、全身ぼろぼろになって倒れていた鬼の少年・樒を拾った。鬼は龍神の末裔といわれていて、頭に生えるのは龍の角とも考えられる「人とは異なる者」たちだ。本来とても誇り高い一族で、人間を見下す鬼も多いとされているが、磨いてみれば樒は美しい白鬼で、これを気に入った白妙は、樒を「しぃ」と呼び、そばに置くことを決めるのだった。  やがて成長した樒は、王個人に仕える官吏「花守」の一員になることを望むが、当代の女王・吉乃が、自らの命を薪のようにくべて、内裏に流行した特殊な病によって消えかけていた「はじまりの火」を復活させたことを知り、代々の王が火の生け贄となるために存在している事実を知ってしまう。樒は花守として、全力で白妙を守ろうと心に決めるが……。  主従の愛にきゅんとする、ネオ和風ファンタジー!

祖父の後を継いだ新卒女子の診療所生活は?

 大学の獣医学部を卒業したばかりの、新米獣医師コハル。春からは晴れて田舎の瑞杜町で、獣医である祖父の診療所を手伝おうとしていた矢先、頼みの綱にして仕事の大先輩だった祖父が急逝してしまう。 急遽、跡継ぎとしてたったひとりで診療所を再開することになったコハルのもとに、再開初日に急患がやってくる。それは血まみれの黒犬で、自分のことを「蒼灯(そうび)」だと名乗った。「まさかしゃべる犬が診療にくるなんて!?」と内心大パニックのコハル。なんとか傷口の縫合手術をやってのけたその翌日、診療所の台所には当然のような顔で朝食を作る見知らぬ青年の姿が……。 「妖怪って知ってる? 結構あちこちにいるんだよ。人間が気付かないだけで」——あっさり言ってのける青年・蒼灯の言葉どおり、それからの診療所には、ごく普通の患畜に混ざって、いろいろな妖怪が訪れてくるように。蒼灯の説明によれば、そもそもコハルの亡き祖父のアキトモが、彼らの間では有名な存在で、獣医の傍ら妖怪の診療もしていたというのだ。動物の診療もままならない新米獣医だというのに、未知の存在である妖怪の面倒までみることになったコハルの運命は……?

小学館文庫シリーズ