内田洋子

海をゆくイタリア
著/内田洋子発売日:2021-09-07

イタリア半島を帆船で巡った宝物のような旅

 「かつて古代の戦闘船が、貿易船が、漁船が、旅客船が周遊したように、新緑のすばらしい季節に風に吹かれてイタリア半島を巡る旅に出てみようではありませんか」縁あって美しい木造帆船《ラ・チチャ》号の共同船主になった著者が描く、宝物のような航海日誌。サンレモ、ポルトフィーノ、カプリ、パレルモ、タオルミーナ、ヴェネツィア……イタリア半島を海から巡った初夏から秋にかけての140日間を、旧友らとの親交、食、歴史、自然などのエピソードを交えて豊かに綴る。「舳先が切る波は、金粉を撒き散らすように輝きながら船の両側に跳ねている。そのきらめきのひとつひとつが無数の命の証なのだ」「船は、現在と過去の波間を揺れている。現実に近づきながら、それは実は異次元への旅の始まりでもある」「獲れたてのカジキマグロの稚魚を三枚に下ろし、生のまま塩とオリーブオイル、少々のレモンで和えたウイキョウと小ぶりのトマトのざく切りを合わせて食べた。目の前に広がるのは、海」(本文より)。こんな時代だからこそ海風を浴びる旅に出たくなる一冊。解説は法政大学特任教授の陣内秀信さん。

イタリアの人の美意識を描く傑作随筆集!

 イタリア在住の人気エッセイスト・内田洋子が描く、イタリアの人々の美意識をテーマにした最新随筆集。 ミラノ、ボローニャ、カプリ島、ヴェネツィア、プーリアの山村の日常生活の中に見つけた音や色、味覚、 匂い、手触りを通して、イタリアの<美しいということ>の源を探る。 雨に沈むヴェネツィアで思い出すピアニストの人生『雨に連れられて』、美術館から盗み出された 名画の数奇な運命を辿る『それでも赦す』ほか珠玉の15編。

イタリアの驚嘆すべき人生の数々。全10話

 2011年に『ジーノの家』(文藝春秋)で第五十九回日本エッセイスト・クラブ賞、第二十七回講談社エッセイ賞を同時受賞した著者の授賞第一作、待望の文庫化。 イタリアに30年以上生活し、旅行者ではなく生活者として見つめてきた著者が、風土、社会、人々、食を、精緻な筆で切り取った深く滋味のある随筆集。  いずれも著者が体験した事実をもとに巧みな筆致で1話ごとに驚くような結末が読者を待ち受ける。 カフェで知り合った大学教授から自宅を半分にするから買わないかと誘われる『ミラノで買った箱』。リグリア地方の田舎駅の駅員を襲った悲劇の事故と温情のドラマ『鉄道員オズワルド』。たまたま知り合った青年の結婚式に招かれて彼の郷里のシチリア島に渡ってみると想像もできなかった光景に遭遇する『シチリアの月と花嫁』。冬の海辺のホテルで出会った老いたロシア皇女が語った波乱の人生『ロシア皇女とバレエダンサー』ほか全10話。。

小学館文庫シリーズ