大岡昇平

無罪
著/大岡昇平 発売日:2016-04-06

裁判小説の傑作が甦る!

 17歳の若い娘アデイラは20歳以上年上の富裕な商人エドウィン・バートレットと結婚した。二人は仲睦まじく暮らしたが、アデイラが27歳の美しく成熟した女になった頃、夫に紹介された美男の牧師ダイスン師と愛し合うようになる。ある日、エドウィンが急死するという事件が起こる。検視の結果、死因はなんと「クロロホルム」によるものと判明した。被告となったアデイラは容疑者として裁判にかけられる。この裁判はクロロホルムが殺人に用いられた最初の事件として世間の注目を集めることになった。事件の発生から捜査、起訴、法廷、陪審制による判決までを克明に追及し、背後に潜む人間ドラマまでを描いた表題作「無罪」。 イギリスの著名な裁判を題材にした表題作など11篇のほかに、「シェイクスピアとは誰か」という世界文学史上最大の謎にいどむ「シェイクスピア・ミステリ」とアメリカ裁判史上最大の冤罪事件を再現し、つぶさに考察する「サッコとヴァンゼッティ」を収める。 *本書は新潮文庫で1982年に刊行されたが長らく絶版。小学館文庫は『大岡昇平全集』(筑摩書房刊)を底本にした完全版である。 ●装丁/平野甲賀

小学館文庫シリーズ