朝比奈希夜

連れ去られた死神の花嫁の運命は!?

  奉公先の三条家でこきつかわれていた没落華族の令嬢、正岡千鶴。帝都・小石川で猛威をふるう流行病を鎮めるため、生贄に選ばれた千鶴は、死神が祀られている神社に花嫁姿で向かった。だが、目の前に現れた死神・八雲は、人間など娶らぬと千鶴に言い放つ。しかし、死を覚悟してやってきた千鶴にはすでに帰る場所もなく、八雲の屋敷でともに暮らすこととなった。 八雲の従者である浅彦や、わけあって八雲のもとで育てられている人間の男の子・一之助とともに屋敷で過ごすうちに、千鶴は八雲の優しさやさりげない気遣いに気づきはじめる。やがて千鶴は八雲に深い信頼を寄せるように……。 屋敷での穏やかな時間に幸せを感じていたある日。八雲が夜遅くに、額に傷を負って帰ってきた。心配する千鶴に、八雲は冷たい言葉を投げつけ、触れようとした千鶴の手をはね除ける。突然の八雲の拒絶に、わけがわからずうろたえる千鶴。八雲の妻として死神の役割を理解して彼に寄り添いたい……そう考えていたはずが、千鶴の心はかき乱されて――!? 愛を知らない死神と生贄の花嫁の、不器用な愛の物語。第二弾登場!

愛を知らない死神に嫁いだ没落華族の娘

 正岡千鶴は、家族も家も失った元子爵令嬢。天涯孤独の身となった今は、帝都・小石川にある三条家で使用人として働いている。紡績業で成功した新華族の三条家は、小石川に工場を持ち地域のまとめ役にもなっていたが、もともとは立場が上の旧華族だった正岡家の千鶴には残酷な態度をとり続ける。千鶴は、日頃から嫌みや蔑みの言葉を投げつけられていたが、華族としての矜持を忘れずにいようと心に誓っていた。  そんな頃、街で流行病が猛威を振るい、人々が次々と倒れる事態に。不気味なことに、亡くなる人は、枕もとに死神が立ったと言って息を引き取るらしい。三条家には恐慌状態の人々が押し寄せるようになり、死神の怒りを鎮めるためとして、千鶴は生贄の花嫁に選ばれてしまう。  死神の花嫁——それは死を意味する。だが、苦しむ人々の役に立つのならと千鶴は覚悟を決め、夜の闇の中、花嫁衣装で死神が祀られている神社の鳥居をくぐる。ところが、現われた死神・八雲は「妻など娶らぬ」と冷たく千鶴に告げた。すでに帰る場所もなく、街の人々のためにも引き下がるわけにいかない千鶴は、生贄の花嫁として、愛を知らない死神のもとで暮らすことになるが…!?

旦那さまは龍神でした——

 子どもの頃に両親を亡くし、叔父夫婦に引き取られた小夜子。何をしても叱られてばかりで、叔父が営む土産物店でもこき使われているが、お客様のためにと毎日笑顔で頑張っている。  ある日、大事な取引先である泉宮酒造の経営者、泉宮浅葱が店にやってくる。叔父の店は経営難で、泉宮への支払いを滞らせていたらしい。冷酷で無慈悲、従業員も夜逃げする…と悪い噂が多い浅葱だが、泉宮の酒は評判がよく、取り引きを打ち切られると叔父の店は大打撃だ。心配する小夜子だが、後日、叔父から衝撃的な言葉を告げられる。なんと、浅葱が小夜子との結婚を望んでいるらしい。叔父は小夜子の気持ちも聞かず、店のためだと強引に話を進めてしまう。  婚礼の日、緊張する小夜子を出迎えた浅葱は、無表情ではあるものの意外にも細やかな気遣いをみせてくれる。だがその晩、浅葱と契りの口づけを交わした小夜子は、驚くべきものが見えるようになる。なんとこの泉宮酒造は、あやかしたちが働く酒蔵で、浅葱の正体は龍神だったのだ! 恐ろしさのあまり、小夜子は泉宮の家を飛び出してしまうが——。  龍神と犬神に囲まれて送る新婚生活は、予測不能で波乱万丈!? あやかし夫婦ストーリー!

鬼神と白虎が作る京の和菓子のお味は?

 幼い頃から「あやかし」が見える芹沢天音。そのせいでずっと「おかしな人」「嘘つき」と言われていた天音は職場でもうまくやれず、仕事を辞めて、生前祖父が和菓子店を営んでいた京都の家で暮らそうと上賀茂を訪れる。だが、無人のまま放置されていたはずの家に見知らぬ青年が。しかも一階の店舗は開いていて、雲龍庵と書かれた祖父お気に入りの看板も入り口の上に掲げられている。一体どういうこと? おどろく天音に、店主だという青年・北条成清は、祖父に頼まれて味を受け継ぎ、小太郎・小菊という幼い双子と三人で雲龍庵を続けているのだと語る。祖父から「いつか天音が訪ねてくるだろう」と聞かされていたという成清の言葉に、天音は少々怪しく思いながらも菓子作りを手伝うことを決める。ところが、かわいい双子のきょうだいは、眠くなるとなぜか小さな虎に変身!? しかも成清の頭には小さな角が見えて……。  あやかしが営む和菓子店で、あやかしとともに始めた不思議で優しい同居生活。やがて天音は、祖父の和菓子を作り続けることが、あやかしと人間を繋ぐことになると知る——。京都和菓子×あやかしストーリー。

あやかし猫が起こす再会の奇跡!

 ストレスで体調を崩し、会社を退職。初めての彼氏にも浮気されてあっさり失恋。うまくいかない人生に打ちのめされた美琴が逃げこんだのは、亡くなった祖母が住んでいた田舎の空き家だった。  誰とも接触せず、引きこもり気味に一人暮らしをはじめた美琴だが、気分を切り替えようと訪れた近くの神社で、見習い神主の青年・千早と、人の言葉を話す猫・モーと出会う。モーの不思議な力によって過去の自分の姿を見せられた美琴は、心の奥に押し込めていた後悔と向き合うことに……。  花咲神社は生者死者の再会が許されている場所。神様の眷族だというモーは、それを必要としている人々の手助けをするのだと千早は言う。特別なこの神社で、美琴が選んだ未来とは——?  心から誰かに再会したいと願えば、きっと叶えてくれる神様の猫がここにいる。現世〈うつしよ〉と隠世〈かくりよ〉をつなぐ花咲神社で、優しい神主見習いと毒舌猫とともに働くことになった美琴の、奇跡と涙と感動の物語!

小学館文庫シリーズ