沖田円

猫又の夫が幽世で行方不明に!?

  奇妙な結婚相談所の紹介で、猫又・燐の花嫁になった弥琴。現世と幽世、二つの世界を隔てる門の管理番である燐との夫婦生活は、ごく普通の会社員だった弥琴にとっては不思議の連続だったが、祝言から半年が過ぎ、そんな生活にもようやく慣れてきた。 そんな頃、あやかしの街・黄泉路横丁にある燐の屋敷に、一人の女子高生がやってくる。伊千瑠というその少女をひと目見るなり、かつての主人である千鶴の名前をつぶやいた燐。千鶴の子孫だという伊千瑠は、幽世のどこかにいるらしい、千鶴の恋人だった鬼を捜すために、幽世に行きたいと燐に同行を求める。さらに伊千瑠は、「燐はわたしのもの」と弥琴に宣言した。 一度は拒否するものの、結局、燐は伊千瑠とともに幽世へ行くことを決意。自分よりも伊千瑠を選ぶのだろうかと衝撃を受ける弥琴は、不安のあまり、つい燐を困らせる言葉を口にしてしまう…。 幽世に向かった燐を想う弥琴。弥琴との“今"のために旅立った燐。離ればなれになった二人に、危険が迫る――!? あやかしと人の縁が重なる物語、第三弾!

あやかし夫との夫婦生活に変化が!?

 仕事帰りにふらりと立ち寄った不思議な結婚相談所。会社員の弥琴が相談員から紹介されたお見合い相手の青年・燐は、なんと、猫耳と二股の尻尾を持つ齢千年の猫又だった。 あやかしと結婚なんてできるわけがないと思ったものの、人生に行き詰まっていた弥琴は、燐があやかしの嫁を見つけるまでという約束で、燐の仮花嫁となる。だが、幽世へと続く門の管理番をつとめる燐の仕事を手伝ううちに、弥琴は燐を大切な存在と思うようになり――ついにふたりは、本当の夫婦として誓いを交わすことに。 あやかしたちが棲む黄泉路横丁での暮らしにもようやく慣れてきた頃。ある日、留守番をしていた弥琴の前に、幽世からやってきたらしい火柄という名のあやかしが現れる。弥琴が燐の妻だとは絶対に認めない、と激しく怒る火柄に、弥琴は連れ去られてしまい……!? ふたりの“これから"のために、ある再会を決意をする弥琴。あやかしと人の縁が重なる物語、第二弾。

千年を生きる猫又の仮花嫁になりました。

 上司のパワハラとブラックな会社の空気に耐えながら、憂鬱な毎日を送っている弥琴。もう限界…と思いつつの帰宅途中、気づくと弥琴は見知らぬ街に迷い込んでいた。深夜にもかかわらず営業している結婚相談所を見つけた弥琴は、今の状況を変えようと婚活を決意。相談員の狐塚から勧められるまま、「ウチ一番の優良物件」だと紹介された燐という青年とお見合いをすることに。  ようやくとれた休日。直接先方を訪ねてください、と狐塚に指示された弥琴は、渡された地図をもとに燐の家へと向かう。だが、目的地は建物の隙間にのびる狭い路地の先にあるらしい。訝しみながらも先へ進むと、その奥には不思議な雰囲気の古い街並みの通りが開けていた。  通りの突き当たりにある大豪邸が燐の家だと気づいて気後れするものの、意を決し、門の向こうに声をかける弥琴。そして出迎えてくれた着物姿の美形青年・燐を見て、弥琴は内心ひどく動揺する。目が離せないのだ……燐の猫耳と尻尾から!  お見合い相手は、齢千年を超える猫又!? この街と燐の事情を聞いた弥琴は、お互いの目的のために“仮の結婚”をすることになるが——。

繰り返す死から君を救うために

 東京で自分の店をオープンさせるという大きな夢を抱き、アパレル業界でがんばってきたあずみ。だが、SNS上での出来事が原因で仕事を失い、実家がある田舎町へ帰ることに。  数年ぶりの地元に到着早々、あずみは幼馴染の太一とばったり再会する。幼い頃からどんな時もあずみの味方をしてくれた太一だが、高校生の時、太一に好意を寄せる女子生徒に嫌がらせをされてから疎遠になっていた。離れていた時間を感じさせない態度で接してくる太一に、夢を捨てた自分が情けなくて素直になれないあずみ。だが、やがて友人たちの後押しもあり、太一との距離は縮まっていく。  そんなあずみが最近気になっているのは、帰省した日から毎晩見ている夢。流星の降る夜、海辺で横たわる『誰か』の隣で泣き続けている——そんな奇妙な夢を繰り返し見ているのだ。そしてあずみは、太一の様子がどこかおかしいと気づくように。  流星群極大の夜、天体観測をするという友人の誘いで夜の海に向かったあずみと太一。星空の下で、あずみは夢の真実を知る——。  繰り返される死と嘆きの夢。流れる星はあずみと太一のどこへ導くのか。沖田円が描く再生と希望の物語!

世界が終わる前に探し出した、本当の自分

 わたしはこの世界が嫌いだ。  そんな気持ちを誰にも知られないように、周りが期待する「わたし」らしさを装って、当たり障りのないよう生きてきた女子高生の佐伯真魚。ある日、差出人不明の手紙で校舎の屋上に呼び出された真魚は、手紙の送り主がクラスメイトの九条シキだと知って驚く。いつも暗い雰囲気を漂わせて教室の隅にいる九条。だが、目の前の九条は晴れやかな笑顔を見せている。そしてその背中には、白く大きな翼が。人畜無害だと思っていた地味な男子生徒が、実は天使を演じるイタい人種だった…? そっと引き返そうとする真魚に、九条は謎めく言葉を告げた。 「佐伯さん、聞いて。あと七日で世界が終わるんだ」  世界を滅ぼすかどうかの選択者に、真魚を選んだという自称・天使の九条。そして滅亡を避ける方法は、真魚自身をこの世界から消す、というものだった。九条の言葉を信じられない真魚だが、翌日、いつもの景色から何かが失われていることに気づいてしまう——。  世界の未来をその手に握る真魚が、最後の一週間で見つけた“答え”とは? 若者の圧倒的支持を集める沖田円が描く、感動の青春小説!

小学館文庫シリーズ