猪瀬直樹

震災から10年 未来へ記憶されるべき奇跡

 「火の海 ダメかも がんばる」。2011年3月11日、気仙沼。津波とともに、燃え盛る重油が公民館を取り囲んだ。避難していた住民たちは孤立無援となる。その中のひとりの女性が、スマホの電池の残量を気にしながらかろうじて打った冒頭のメールが、ロンドンの息子に届いた。息子は、どこかの誰かに救助を求める文面を必死に考え、発信した。このTwitter140文字が、東京のある零細企業の社長の目に留まり、「偶然」という名の必然によって、東京都副知事に繋がって、東京消防庁のヘリが救出に飛び立った! 災害救助の「永遠のケーススタディ」となるべき、奇跡の物語。

民警
著/猪瀬直樹発売日:2020-06-05

警察も自衛隊もしのぐ50万人警備員の真実

 1962年、日本初の民間警備会社・日本警備保障(現セコム)を企業した二人の若者は、1964年の東京五輪で選手村の警備を受注した。彼らに警備を発注した警察官僚が、のちに綜合警備保障(アルソック)を設立する。出自を異にする二つの警備保障会社はテロ、外国人流入、コンビニATMの爆発的増加などを背景に巨大化する。しかし、ますます複雑化する国際関係やテロの脅威、加えて新型コロナウイルスの猖獗の渦中にあって、2021年東京五輪を守れるのか。他の誰によっても成しえなかった、昭和、平成、令和を貫通する「鮮烈な視点」を提示してみせた画期的作品。

映像革命を描いてネット社会到来を予言!

 都知事になる以前からツイッターを始めていた著者。なぜインタラクティブな(双方向性の)情報発信にいち早く着目したのか? それは、戦後急速に普及したテレビの本質を、本書の執筆過程で研究しつくしたからだった。  テレビ草創期の技術者群像から、正力松太郎、力道山、田中角栄までを追い、映像のもつ魅力と利権を徹底検証。そして物語は、ネット社会到来の予兆ともいえる、あの事件の現場で結ばれる・・・。昭和から平成にかけて、緻密な取材と卓越した考察で日本の未来を予見した、「ミカド三部作」の完結編!  本書(小学館文庫版)に寄せられた思想家・東浩紀氏の文章が、その魅力を端的に表している。 《本書『欲望のメディア』では、日本のテレビはなぜかくも民放中心で娯楽中心のメディアとして育ったのか、という問いが立てられる。権力の構造について、大きなイデオロギーの分析から入るのではなく、日常でも出会う小さな謎から迫るそのアプローチは、猪瀬氏の仕事にあたかもミステリを読むかのような娯楽性を与えているとともに、氏の権力観の本質を示している。》(「解説 イデオロギーからアーキテクチャーへ」より)

土地の神話
著/猪瀬直樹発売日:2013-02-06

田園調布のルーツと東京の近未来を読み解く

 著者は都知事就任の25年前から、いまの東京ライフスタイルをつくった近代都市開発の起源を徹底的に調べ上げていた! 猪瀬流都市論の原点となった読み応えのある傑作。  都心に勤めるサラリーマンにとって、東急沿線の住宅地、とりわけ田園調布に一戸建てを持つ、というのが一つのステイタスだが、内実は、満員電車での苦痛な通勤でしかない。そもそものルーツはかの渋沢栄一の息子・秀雄がイギリスのガーデンシティーに魅せられて構想を立てた田園都市計画。しかしこの構想は、五島慶太を始めとする野心あふれる実業家によって欲望に満ちた不動産業へと変貌する。大学の誘致、住宅地と鉄道敷設を一体にした開発、在来私鉄の買収劇など東急王国はみるみる増殖、ロマンあふれる構想はもろくも挫折した。関東大震災後、東京という街がいかにしてでき上がっていたかを検証する『ミカドの肖像』の続編ともいえる近代日本論。

作家・猪瀬直樹の代表作にして原点!

 天皇と日本人、伝統とモダン。近代天皇制に織り込まれた記号を、世界を一周する取材で丹念に読み解いた渾身の力作。皇居の周りにちりばめられた謎を一つ一つ解き明かし、物語はやがて世界へと広がっていく…。どうやって西武グループは皇族の土地にプリンスホテルを建てたのか? なぜ、オペレッタ「ミカド」が欧米人から喝采を浴びるのか? 明治天皇の「御真影」はどうして西洋人の風貌になったのか? 第18回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

日本人としてのアイデンティティを考える

 いま日本にはグローバリゼーションの波が押し寄せている。本書は、「ミカドの肖像」で大宅壮一賞を受賞した作家の猪瀬直樹と「敗者の精神史」で大仏次郎賞を受賞した文化人類学者の山口昌男が既存の枠を超え、天皇制と日本人を論じた知的対談集である。また文庫版オリジナルとして、ダイアナの死をめぐる英王室についての特別対談を収録。天皇制や王制を論じることで21世紀に向け、日本人のあるべき姿が明らかになるはずだ。

小学館文庫シリーズ