石田衣良

約束
著/石田衣良発売日:2012-12-06

未発表作品も追加!絶望から再生へのドラマ

 もうこれからいいことはやってこない、八方ふさがりの人生を受けとめるしかない——誰の身にも起こり得るさまざまな絶望や苦しみの局面。そんな人生の難局から、ちいさな希望の光を求めて立ち上がろうとする人々のドラマ。 親友を目の前でうしなうことになった小学四年生の深い傷と再生を描く表題作「約束」。十九歳の息子の車椅子を押す父親が、家族のため歯を食いしばり踏みとどまる「青いエグジット」。女手ひとつで育てた長男の思いもよらない病に気丈に向き合う母親の「天国のベル」。モトクロスの練習に励む高校生が、ある悲劇を背負った女性と出会う「冬のライダー」。不登校の中学生と廃品回収車の老人のあいだに不思議な絆が生まれる「夕日へと続く道」。被写体にしている桜の前で、カメラマンが悲しげな女性と遭遇する「ひとり桜」。十歳のひとり息子が病魔に襲われ、大手術にのぞむある一家の奇跡を綴る「ハートストーン」。 さらに、未発表作品「みどりご」を今回初収録した全八編。 涙のあとには、きっと明日を生き抜く希望が生まれるはず。一度は立ち止まった人々が、ふたたび人生を歩き出す瞬間を、小説の名手が鮮やかに描いた珠玉の短編集。

 「これから送るのは、親しい友達にも話していないことだ。暗くなるけど、いいかな?」 「わたしは……今、この瞬間全身でスミオの話をきいてるよ。全部、話して——」 六本木ヒルズに暮らす大学生の澄雄と、薄給のパン工場で働くジュリア。携帯の出会い系サイトで知り合ったふたりのメールが空を駆けていく。 20歳のふたりは、純粋な愛を育んだが、そこへ現実という障壁が冷酷に立ち塞がる。無防備すぎる恋は追いつめられ、やがてふたりは最後の瞬間に向かって走り出すことに。 格差社会に否応なく歪められる恋人たちを描いた、現代版「ロミオとジュリエット」。

小学館文庫シリーズ