陰陽師と無慈悲なあやかし

新米陰陽師と謎多きあやかしの凸凹コンビ!

 ときは平安。陰陽寮の学生——ひよっこ陰陽師見習いの大江春実は、身の丈もわきまえずに式神を得ようとして、大変なものを呼び出してしまう。その美しいあやかしの名は、雪羽。返り討ちに遭い、「美味な食糧」になって〈気〉を吸われる春実と、飄々とした不思議なあやかし・雪羽との奇妙な関係が始まった。  春実とともに、ひとつの事件を収束させたあと、雪羽はしばらく姿を消していた。しかしふたりは思いがけない形で、久しぶりの再会を果たす。内裏で宮廷女房が死んでいたその現場で、死体の傍らに淋しげな顔をして立っていたのが、貴公子姿の雪羽だったのだ。偶然現場に居合わせた春実は、取り調べで長く拘束されてしまう。  時を同じくして、京の都の上空には謎の赤い星がまたたくようになっていた。陰陽寮の面々はこれを凶兆として対策に乗り出し、春実は一連の不可解な事柄に関わっていると考えて、雪羽に話をきくことに。すると内裏の事件も赤い凶星も、まさしく雪羽の過去の知り合い——水干姿の少年あやかし〈澪〉が起こしたことと判明する。 「あたしの中には帝の血も混ざっているからね」などとうそぶく雪羽の、謎に包まれた過去とは……?

新米陰陽師と美形あやかしの迷コンビ誕生!

 「来たれ。そして、我に仕えよ!」  ときは平安、華やかなりし京の都のそこかしこ——夜の闇やよどみには、目に見えない物の怪たちが跋扈していた。さて、まだ幼い顔をした陰陽寮の新米役人・大江春実の夢は、いつか一人前の陰陽師になることだ。しかしまだまだ未熟ゆえ、うかつに召喚したあやかしに、圧倒的な能力差で敗北し、食事がわりに自らの寿命を提供することになってしまった。 「式神がほしかっただけで、自分が物の怪の保存食になりたかったわけじゃない……」  嘆く春実に、美形のあやかし・雪羽はせせら笑う。 「悔しかったらあたしに勝てばいい。寿命が残っているうちにな」  かくしてここに新米陰陽師と、飄々とした式神もどきという世にも奇妙な凸凹コンビが誕生した。  春実は同僚の頼尚とともに、左大臣の邸・万華院へと向かう。そこでは夜な夜な青白い謎の人影が徘徊し、ついには使用人の男が頓死したのだという。春実らはこの問題を解消するため、陰陽寮から派遣されたのだった。  果たして春実は、豪邸で起きる怪事件を解けるのか?

小学館文庫シリーズ