古内一絵

花舞う里
著/古内一絵発売日:2021-03-05

心の居場所を探す少年の伝承と再生の物語

 親友が事故で亡くなったのは自分のせい、と自らを責め、心を閉ざしてしまった中学二年の杉本潤。母と一緒に、東京から逃げるように母の故郷の愛知県奥三河・澄川へと引っ越す。そこはコンビニもファストフードの店もないど田舎だが、700年の歴史を持つ「花祭り」という神事、伝統芸能が根付く山深い地域だった。 奥三河にある十を超す集落が各々に伝わる「花祭り」を大切に守っているが、どこも少子化と過疎化の問題は深刻。潤の新たなクラスメイトもたったの三人で、潤の転入によって久しぶりに集落の中学生だけで少年の舞である「三つ舞」ができると皆が期待する。しかし、人との関わりを極力避けたい潤には煩わしさしかない。  “親友を失った自分が、「神」に捧げる神楽だなんて——”。 祭りへの参加を拒否する潤。だが次第に、周囲の人々の心にも巣食う悩みや悲しみ、この世の不条理さを知るようになる。 守るべき伝統と、受け入れざるを得ない変化。少年の心の成長と、「今」を懸命に生きる人々を描く、美しくて愛おしい再生の物語。 解説は中江有里。

フラダン
著/古内一絵発売日:2020-03-06

震災後の福島で前向きに生きる高校生の青春

 「男のフラ? なぜ俺が」。高校2年生の辻本穣は澤田詩織からフラダンス愛好会にスカウトされる。「穣の体が目当て」と言い切る押しが強い詩織に辟易し逃げていたが、帰国子女のイケメン転入生・柚月宙彦の陽気さや、同じクラスの気になる女子・林マヤの存在もあって渋々入会することに。かくして男子4人を加えた個性派ぞろいのフラ愛好会は新たなステージへ。なんと、男女混合フラで「フラガールズ甲子園」での優勝を目指すことに!  東日本大震災から5年後の福島が舞台。メンバーたちはごく普通に高校生活を送っているように見えるが、皆それぞれの思いを内に抱えている。主な活動である慰問にも真剣に取り組み、夏休み直前には、隣町の仮設住宅で催されたフェスティバルに参加。そこで、「フラダンスを通して、みんなを元気にしたい」と張り切るメンバーに突きつけられた現実。そして……。  果たして「フラガールズ甲子園」への出場は叶うのか? フラ男子たちの活躍やいかに!? 震災後の福島に生きる高校生たちの、涙あり笑いありの青春物語。全国感想文コンクール課題図書、JBBY賞など、数多くの賞に選ばれたベストセラー小説、待望の文庫化!

真実から生まれた、命の重さを問う人間賛歌

 ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。  そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。  やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。

爽涙!スポーツ小説の大傑作、待望の文庫化

 芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。  弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?  偏見、セクハラ、虐待、裏切り、老い…。様々な理由から心に傷を抱え、人生をあきらめかけている人間達の起死回生ストーリー。人は何歳からでも成長できる、そして人生はやり直せる。すべての方々に読んでいただきたい、人生への応援歌となる1冊です。

小学館文庫シリーズ