堀江敏幸

フランスで出会った「もの」たちの物語

 《捨てられはしたけれど破壊はまぬかれた、近い過去の生活用品には、独特の表情がある。元の所有者たちの生活の匂いが、設計者や製造者の顔が透けて見える。それらが引きずっている人々の過去に、感情に、もっと言うなら、「もの」じたいが持っている心、すなわち「物心」に私は想いをはせる。》(本文より)  旧式のスライド映写機、1950年代の万年歴、他メーカーのものも混ざった古いコンテ社の色鉛筆……。主にフランスの古道具屋や蚤の市で出会ったがらくたとも言える「もの」たち。その「物心」に想いをはせ、「物」の語りを綴った珠玉のエッセイ集が、書き下ろし作品も加えて待望の復刊。

小学館文庫シリーズ