セラフィムの夜

私は一体誰なのか? 芥川賞作家が描く愛と暴力の逃避行。

 天使のような容貌と肉体を持ちながら生まれつき生理がない人妻・涼子は、大学の後輩の大島に好意を寄せられ、凌辱されてしまう。さらに、病院へ赴いた涼子は、自らの性の驚くべき真実を知る。異常なまでにつきまとう男を殺めた涼子は、彼の腹違いのヤクザの兄・山本に助けを求めた。二人は山本の故郷である韓国へと向かう。そして、山本には恐るべき殺し屋が襲いかかった・。「性」と「国籍」。二人の存在の証をかけた逃避行の結末は?

小学館文庫シリーズ