十津川警部〔小学館文庫〕

伊予灘の絶景で死の直前に父が見たものとは

 一人暮らしの老人が失踪、その後遺体で発見された。死の謎を解こうと父の足跡を追い始めた息子小菅明。十津川警部は小菅ととも捜査を進めていくが、生前に老人がカメラで撮影していた対象が事件のキーポイントであることに気がつく。しかし思いもよらぬ人物が執拗に捜査を妨害してきた……。定年を前に退職し、以来疎遠になっていた父・小菅信一郎が失踪したとの連絡が息子明の元に入った。行方不明者届を出した二日後、父は自宅マンションで遺体となって発見された。死因は溺死で殺人の可能性が高いという。その後信一郎を訪ねてきた若い女性・平川綾乃の話から、父が瀬戸内海を望む、愛媛の下灘駅に滞在していたことが分かった。なぜ四国の無人駅に行ったのか、事件の鍵を探すべく明も下灘駅に向かう。そこで、父が死の前に「海の宝石」と呼ばれるものを撮影していたことを知る。事件を追う十津川警部は信一郎が最後にカメラで撮影した対象を割り出す。そして興信所所長の坪内正明という男が事件に関わっていることに気づく。坪内をマークし捜査を続けるなか、突然坪内への捜査中止命令が下る。一体彼は何者なのか――襲い掛かる黒い策謀に、十津川が敢然と立ち向かう!

二十五歳の女性が連続して狙われる事件が!

 女優の衣川愛理は、ロケ中の休日を楽しもうと、京都・嵯峨野のトロッコ列車に乗車した。そこで、見知らぬ男から席を替わらないと命の危険があると脅される。男と席を替わった愛理には、結局何も起きなかった。数日後、東京と西伊豆で、女性が銃で殺害される。弾丸の線条痕から、使用された銃が同じであることが判明した。三人の女性を調べたところ、二十五歳で独身という点が共通項だった。  その後、千代田区と世田谷区の二つの区役所から、五年前の成人式の名簿が盗まれるという事件が発生する。  警視庁・京都府警・静岡県警の合同捜査が始まった。  十津川警部は、それぞれの事件との関連を指摘する。そして、犯人グループの狙いや動機について、十津川が推理した先には、ひとりの女性を巡ってのエゴイスティックな想いがあった……。  事件は、その後思いも寄らぬスケールで展開されていく。犯人グループとの全面的な対決となった驚愕のラストシーンとは!

二つの殺人事件の背後に「戦争の亡霊」が!

 女性カメラマンの夏川えりは、故郷の岐阜・高山へ向かった。高山から足を伸ばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。実は、祖母・夏川勝子は太平洋戦争末期に従軍看護婦として満洲に渡っていたが一時帰国し、R村で行方不明となっていた。そして、勝子のことを調べようと思って訪れたえりも、R村で姿を消してしまった……。  そして、東京・三鷹でひとり暮らしの72歳、浅野真治が遺体で発見された。十津川は、関係者から驚くべき証言を得る。浅野の父親が唱えた「永久戦争論」について、真治は原稿を書くことになっていたという。それは敗色濃い日本軍が沖縄戦でとったとされ、少年兵を使うものだった。そして、歴史に葬り去られるべき戦術を現代にも継続させようとする一群の存在があった。  十津川警部は、二つの事件にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。

十津川シリーズの秀作五作を収めた短編集。

 十津川警部シリーズには、多くの長編とともに味わい深い短篇も多い。本作は、東北地方を舞台にした秀作5作を収録しています。  「ゆうづる5号殺人事件」は、東京駅に着いた東海道新幹線で忘れものが見つかった所から話が始まります。その所持人である男性が亡くなっていることがわかります。調べを進めると、その後、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見されました。容疑者の存在が浮かんで来ますが、どちらも犯行時間にアリバイがありました。容疑者の企てをどう見破るのか!?  「急行べにばな殺人事件」は、十津川の部下である亀井が容疑者となってしまうという驚きの展開です。高校の同窓会に出席した亀井は、次の日に別れた同級生が急行べにばなで殺されたことを知ります。そして、犯人ではないかと疑われ、留置されてしまいます。ここにも、容疑者にはアリバイがあるのですが……。  既に廃止されてしまった「ゆうづる」「べにばな」「あいづ」が登場。鉄道ファンには懐かしく感じることと思います。  十津川警部の活躍を、お楽しみ下さい。

太平洋戦争の悪行が70年後に暴かれる!

 浜名湖の湖岸にある「フジタ浜名湖地震津波研究所」のビルが炎上し、そこから男の焼死体が発見された。男は、主宰者の藤田武。妻の美里には、何のために武が死んだのか分かっていた。  時代は一気にさかのぼり、太平洋戦争の末期。武の祖父徳之助は、「フジタ地震津波研究所」をつくり、息子の健太郎とともに研究をしていた。  米軍による日本本土への空襲が勢いを増す中、敗色濃い戦時下に政府、軍部が国民に強いたものは、言論統制、報道管制だった。その圧制下にあって大地震・津波の襲来を予知し、警鐘を鳴らそうとしたのが藤田親子だった。  ついに、1944年12月7日に大地震が東海地方を襲った。後に言われる昭和東南海地震である。これが次の大地震を誘発すると警告する藤田親子を、当局は拘留し迫害した。そして、翌年1月13日には三河地震が起こったのだった。しかしながら、徳之助は鉱山に、健太郎は沖縄戦線に送り込まれ、徳之助は行方不明に。それを命令したのが、川崎憲兵隊長だった。  戦争での悪行を暴くために、戦後、藤田健太郎と武は、それぞれの時代に動き始めた——。

トレインジャックした主犯の男の正体は!?

 京都を出発した特急オーシャンアロー17号。その列車には、次期駐日大使のウィリアム・コテッティ、その夫人と娘、それに白浜に向かう十津川警部の妻直子と叔母の美津子も乗車していた。異変に気づいたのは、美津子だった。停車予定の天王寺を通過したのだ。直子は、十津川警部からの電話でそれを告げた。  そして、犯人と称する男が外務省に電話をしてきた。神木昌幸とそのグループと名乗り、トレインジャックしたとしてコテッティ一家の身代金として日米両国で合わせて10億円、ほかの100人を超す乗客乗員の身代金として、JP西日本に対して10億円を要求してきた。  そのうち、その列車には生け花の小暮流家元、小暮龍園が乗車していること、主犯格がフランスの外人部隊にいて、ギニアで政府軍に雇われて反政府ゲリラと戦っていた高木健介という男であることがわかった。そして、アメリカ政府は、ギニアのアメリカ大使射殺高木の仕業と見ており、アメリカ軍も動き出してきた。さまざまな思惑が錯綜する中、十津川は犯人逮捕と乗客の安全確保の双方ができるのか——。  クライマックスまで一気読みの、スリリングな長編ミステリー!

殺人請け負いグループの暴挙を暴け!

 ファミリーレストランチェーンの社長・岡崎秀明が誘拐された。犯人は、身代金を要求することもなく、岡崎に相応の請け負い料を支払ってもらえれば、敵対する人物を消してみせると持ちかける。悪魔のささやきを聞いてしまった岡崎は、男に言われるがままに一億円を振り込んでしまう。程なく、白石検事と部下が事故死した。そのとき、特急「南風」に乗っていた岡崎には、アリバイがあった。  数日後、十津川警部を訪ねてきた藤田検事は、白石が岡崎の不正経理を追求し告発する予定だったことを伝えた。  そして、岡崎には白石殺害に関わった男からまた連絡が入る。それは、ある男と高尾山に登って欲しいというものだった。すでに殺人に関与してしまった岡崎には、自分の意志など通じなかった。  さらに、大病院の院長の自殺、有名女優の毒物死にも、請け負い殺人グループが関わった疑いが!  十津川警部は、奴らの書体を暴くことが出来るのか?

ロケ中の殺人と大臣の死にどんな接点が!

 同棲中の谷村有子と葛西信は、売れない役者同士。ある日有子は、渋谷で自動車運転免許証を偶然拾った。それは、今人気の女優新藤美由紀のものだった。免許証に記された新藤美由紀の本名は、同じ読みで名前が一字違いの「谷村侑子」。免停中の谷村は、その免許証を使って運転し警察に捕まるが、新藤の計らいで、罪に問われることもなく済んだ。プロデユーサーの推薦により、谷村と葛西の二人に夫婦役での連続テレビドラマ出演が決まって、ロケ地の京都宇治に向かった。  しかし、宇治川の清流沿いに走る京阪宇治線での撮影初日に、有子とドラマスタッフが失踪し、殺害されてしまったのだ。  東京では、大物政治家白石幸次郎が爆殺される。十津川警部が調べを進めるうちに、無関係に見える二つの事件を結ぶ接点が浮かび上がってきた。そして、さらなる被害者が!  事件は、迷宮のシナリオを演出しようとする犯人の勝利に終わるのか。  十津川の推理が導き出した犯人とは——。

連続予告殺人に十津川警部が挑む!

 東武浅草駅のコインロッカーから、位牌の入った木箱が発見された。位牌には名前と10日先の日付が入っており、箱の底には特急スペーシアの写真もあった。予告殺人を警戒した十津川警部と亀井だったが、その期日に特急「きぬ135号」の車内で男の死体が発見された。男は位牌に名前のある梅原誠だった。 そして、今度は上野駅で位牌が見つかる。さらなる警戒も空しく、位牌に記載された坂西洋一郎が予告通りにカシオペア車内で殺害されてしまった。  捜査は難航したが、十津川のひらめきにより容疑者が浮上。犯人の狙いは何なのか!?次の標的を防ぐことができるのか。

先輩刑事の復讐を十津川警部は防げるのか!

 先輩刑事だった木村が定年を迎え、故郷の小樽に帰っていった。その頃、上野公園で女性の死体が発見され、調べを進めていった十津川は、木村との関わりを注視する。木村は高校生の時に亡くなった父の死に疑問を持ち東京に行ってから、小樽は42年ぶりだった。当時、小樽運河を埋め立てるかどうかの議論があり、同人誌『運河』の仲間と木村の父親は、反対していた。そのとき、木村の父親は仲間と一緒にいるときに運河に落ちて亡くなっていた。父の死に事件性を感じていた木村は、その頃の仲間に真相を尋ねるが、誰も非を認めようとしなかった。そして、木村の仲間の家族が次々と誘拐されて、行方不明になっていく。それは、真実を知りたいという願いに応えようとしない仲間に対しての、木村の復讐の始まりだった。木村の思いは通じるのか。誘拐された人々の安否は。十津川は、木村の行動を阻止するため、そして上野の事件解決のため、動く。  マンションに立て籠もった木村と十津川の直接対決。そして、記者会見での十津川の大失態。ラストには、さらにどんでん返しが!

ロボット開発に関わる二人の死の真相を暴け

 昭和精密機械の技術者、早川啓介の遺体が東尋坊で発見された。旅館には遺書が残されていたが、父親の雄介は息子の死に疑問を抱く。人型ロボット開発の中心人物として仕事は充実しており、プライベートでも悩んでいる様子はなかった。雄介は、退職間近の会社を辞め、息子の死について調べ始める。  ついで、浅草のビルから飛び降りたと思われる若い女性の死体が発見される。亡くなった北川愛は工業デザイナーで、「啓介さん、ごめんなさい」という遺書めいたメモが、早川の名前とともに残されていた。そして、北川は啓介が関わっている人型ロボットのデザインを担当していることが判明した。  調べを進めるうちに、十津川警部は、ロボット開発を巡っての人間関係のきしみがあったことを突き止める。  さらに東尋坊で啓介に声をかけたと思われる女性を、父の雄介が見つけたと連絡してきた。  果たして二人の死の真相とは?

日本刀による連続殺人。動機に潜む謎とは?

 全国剣道大会で優勝した現職刑事の横井哲は、優勝したお礼に鹿島神宮に木刀を奉納し、続いて水戸に行った。そこで持っていた木刀が盗まれ、殺人事件に巻き込まれる。  舞台は一転して、東京の上野公園で日本刀による凶行が起こった。3名の命を奪い、怪我人を出した事件は、現行犯で男が逮捕される。  男の名前は、松平優。鹿島新当流の使い手だった。  犯行動機の裏に隠された謎に挑む十津川の前に、次々と明らかになる日本刀による斬殺事件。  果たして一連の事件の真相は?

十津川警部、新たな事件のため南紀白浜へ

 東京池袋署の刑事・伊熊武敏は、会社社長未亡人殺人事件を担当していたが、独断専行を指摘され、上司から非番を命じられ、南紀白浜へ旅立った。紀勢本線特急「くろしお19号」車内で、ひょんなことから、東京中央エレクトリック企画課長の白川健一郎と知り合い、白良浜で会う約束をしたが、翌日砂浜に行ってみると、白川が死んでいるのを発見する。地元の警察署から要請を受けた伊熊は、捜査に当たることになった。  この事件が、伊熊刑事が関わっていた殺人事件とリンクしていく。美貌の未亡人の名は、立花庸子。亡くなった夫は、東京中央エレクトリックの前身、中央電気の社長だった。莫大な遺産を手にした彼女は、数々の浮き名を流していたが、1ヶ月前に自宅で殺されたのである。彼女の過去をたどると、今や廃墟と化した白浜の豪華ホテルの歴史に行き着いたのだった。  事件は広がりを見せ、白川を知るクラブのママや関係者も白浜に現れて、ついには十津川警部の登場となる。  十津川警部が暴いた真相とは!

 小田原に住み、湘南ライナーで新橋の経済研究所に通勤する武藤の前に現れた美女・小早川恵。彼女は武藤に、週に1度、平塚にある自分のマンションで一夜をともにしてほしい、ただしセックスは抜きで、と持ちかける。恵はこうして、川上、大杉、岸川、仲という湘南に住む5人の30代エリートに声をかけ、それぞれ月曜日から金曜日まで「一夜同棲契約」を結ぶ。 岸川の美人秘書が殺され、捜査に乗り出した十津川警部の元に、恵と男たちの奇妙な関係を記した報告書が届く。 一方、恵の魅力に翻弄された岸川は、他の男たちに恵をレイプしようと持ちかける。

 財団法人〈日本の自然と伝統を守る会〉理事長が十津川と名乗る男に殺された。現場に残された血書“義によって天誅を下すものなり”。自らの名を騙られた十津川警部は驚き戸惑いながらも捜査に乗り出す。その命名の由来となった奈良県十津川村、世界遺産に登録され脚光をあびる日本一広い村に足を踏み入れた十津川のまえに次々と起きる殺人事件。その背景に、維新以来、歴史の闇に翻弄され続けた十津川村の存在が浮かび上がってくる。  全国津々浦々を駆け巡り事件を解決してきた名警部十津川シリーズにあって初の十津川村捜査行に拍車がかかる。

 “望郷の殺人者を追え”——クラブホステス絞殺事件の捜査線上に浮かんだのは、なんと新宿署の警部だった。表題作「哀しみの余部鉄橋」をはじめ、山陰の温泉芸者殺人事件を解き明かす「十津川 民謡を唄う」。流氷の北海道を舞台に演歌作詞家失踪事件を追う「北の空 悲しみの唄」。北へ帰る青年が何者かに殺された「北への殺人ルート」旅情漂うトラベルミステリーの傑作4編が一挙に読める西村京太郎ワールド待望の文庫化なる。

十津川警部vs名探偵・左文字進! 難事件に挑む名推理対決。

 西村京太郎ミステリーの粋を味わう十津川警部、名探偵左文字進の名推理対決!——捜査一課に次々と送られてきた白骨の謎を追う、ご存じ十津川警部の「ある女への挽歌」。アメリカ帰りの自称ハードボイルド探偵・左文字が挑むトリック殺人「三人目の女」。さらに左文字の愛妻史子が窮地に陥る「依頼人は死者」。読み出したらやめられないミステリーの華、三作一挙収載。

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