海賊より強欲! 積荷の財貨は10億ドル!
日本本土から約2000キロ、北緯28度5分、東経158度19分の地点で、興田真佐人は400年前に沈んだスペイン船「アンヘル・デ・アレグリア」を発見した。船は、海山の上、水深50メートルの地点で危うい均衡を保っている。海底で運命の出会いを果たした真佐人は、一刻も早い「アンヘル・デ・アレグリア」の引き揚げを目指すが、そのコストは天文学的なものになる。最新鋭の探査船「オーシャン・イリュージョン」を所有する水中遺物専門のサルベージ会社「ネプチューン・サルベージ」CEOジェイク・ハドソンは、共同での引き揚げを真佐人たちに提案するが、その条件は到底受け入れられるものではない。障害は、地上だけにあるわけではなかった。沈船ポイントから東に100キロの地点にあった海底火山が噴火を繰り返し、ついに新島が誕生した。震動によりあと何百メートルかずり落ちたら、「アンヘル・デ・アレグリア」は4000メートルの深海底へ一直線に墜落してしまう−−。 水中考古学を専攻する興田真佐人は、四百年前、祖先・正五郎とともに沈んだスペイン船「アンヘル・デ・アレグリア」号を、太平洋のど真ん中の海底で発見した。スペイン人実業家アントニオと引き揚げの計画を練る真佐人の前に、世界一のトレジャーハンティング会社「ネプチューン」のCEOジェイク・ハドソンが立ちはだかる。恩師の田野倉教授、同期の片岡亞希の協力を得て、真佐人の“魂の遺産”獲得をめぐる闘いが始まった。
水中考古学者VS.トレジャーハンター
興田真佐人には、熱い船乗りの血が流れている。祖先である興田正五郎はおよそ400年前、メキシコのアカプルコとフィリピンのマニラを結ぶスペインのガレオン船「アンヘル・デ・アレグリア」の筆頭航海士として、太平洋の大海原で活躍していた。1620年8月7日、アカプルコに向かう二度目の航海中に「アンヘル・デ・アレグリア」は遭難し、正五郎は船と運命をともにしたという。水中考古学を専攻する真佐人は、太平洋のど真ん中に沈んだままの「アンヘル・デ・アレグリア」を引き揚げることに、人生を賭けていた。スペインを代表するリゾートビジネスグループのオーナー、アントニオ・バルデスをスポンサーに、恩師の田野倉賢治教授、同僚の片岡亞希らとチームを組み、沈船引き揚げプロジェクトが始まった。